(写真はイメージです/PIXTA)

亡くなった人の財産を相続するにあたり、各相続人の取り分は「法定相続分」として法律上割合が定められています。この取り分の計算方法は、誰が法定相続人になるかによって変わりますが、遺産分割で主張できる相続の割合はどの程度なのでしょうか? 本記事では相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が、遺産分割の基本とともに、法定相続人の取り分をパターン別に解説します。

遺産分割協議・調停・審判の役割と流れ

当人同士で遺産分割協議がまとまらない場合には、調停や審判へと移行します。それぞれの役割と流れは、次のとおりです。

 

協議の役割と流れ

遺産分割協議では、相続人全員が話し合って遺産のわけ方を決定します。無事に協議がまとまったら、その結果を遺産分割協議書へ記載し、相続人全員が署名と捺印を行います。この遺産分割協議書を使って、個々の財産の名義変更を行います。

 

調停の役割と流れ

当人同士で遺産分割協議がまとまらない場合には、調停へと移行します。調停では、調停委員立ち合いのもとで遺産分割の話し合いが行われます。無事に話し合いがまとまれば調停調書が作成されますので、これを使って個々の遺産の名義変更などを行います。

 

審判の役割と流れ

調停でも話し合いがまとまらない場合には、審判へと移行します。審判では、原則として裁判所が遺産分割についての決断を下します。

こんなときどうすれば…?遺産分割でよくあるケース

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

そのほか、遺産分割に関するよくある質問は次のとおりです。

 

■相続人のなかに未成年がいる

相続人のなかに未成年者がいる場合、未成年者は自分で遺産分割協議に参加することができません。この場合には、親権者が代わりに遺産分割協議を行います。また、親権者も相続人である場合には利益が相反するため、原則としてその親権者は遺産分割協議の代理をすることができません。この場合には、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらい、特別代理人が未成年者の代わりに遺産分割協議に参加します。

 

■相続人のなかに認知症の方がいる

相続人のなかに認知症の人がおり、症状が遺産分割協議や遺産分割調停をできない程度に重度である場合には、未成年者の場合と同じく、本人は自分で遺産分割協議に参加することができません。この場合には、先に家庭裁判所で成年後見人を選任してもらい、この成年後見人が本人の代わりに遺産分割協議を行います。成年後見人とは、本人に代わって財産管理などの役割を担う人です。

 

■遺産分割後に遺言書が発見された

遺産分割協議後に有効な遺言書が発見された場合には、原則としてその遺言書が遺産分割協議に優先します。そのため、すでに遺産を分けてしまった場合には、原則としてそのやり直しが必要です。ただし、相続人や受遺者など関係者全員が合意するのであれば、すでに行った遺産分割協議を維持することは可能です。

 

■遺産分割後に新たな財産が発見された

遺産分割協議後に新たな財産が発見された場合には、原則としてその財産について改めて遺産分割協議をすることが必要です。ただし、遺産分割協議において「その他の財産は長男が相続する」などと定めていれば、遺産総額から見てよほど高額な財産が見つかったのでない限り、この記載に従います。

 

■財産の一部分割は可能か

全体の遺産分割協議がなかなかまとまらない場合であっても、一部の財産については争いがない場合もあるでしょう。たとえば、預貯金の分け方では争っているものの、自宅の土地建物は配偶者が受け取ることで、相続人全員が合意している場合などです。この場合には、一部の財産(例でいえば、自宅の土地建物)についてだけなど、一部の財産を先に分割することができます。

 

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