「検討おじさん」と呼ばれた岸田首相…内閣の“支持率急落”に学ぶ「決めないリーダー」の存在意義

「検討おじさん」と呼ばれた岸田首相…内閣の“支持率急落”に学ぶ「決めないリーダー」の存在意義
※画像はイメージです/PIXTA

国会答弁での「検討」という言葉の多用から、「検討おじさん」と揶揄される岸田首相。その内閣支持率は2022年の8月に下降し始め、2023年2月時点で27.8%にまで下がりました。本記事では、岸田内閣の支持率が急落した理由から、組織のリーダーの存り方について考察していきます。

「決めなかった」ことで支持率が安定していた岸田内閣

リーダーは権限に基づき意思決定をし、その範囲において人に指示を出せます。岸田首相は、総理大臣という責任を果たすために決める権限を持つわけです。岸田内閣の支持率が一時安定していた理由を筆者は「決めなかった」ことにあると考えています。

 

コロナ禍で多くの意思決定を行った第二次安倍内閣最終期と、菅内閣は厳しい状況下でも多くの意思決定を日本の未来のために行いました。民主主義は原則多数決ですから、決めても一定数反対する人はいます。ましてや1億人以上の国民がいる日本においては、半分の賛成を得ても多くの反対者が出てくるでしょう。不確定要素の多い危機時の意思決定というのは、決定プロセスの短縮と実施の早さが求められます。そのため、大概は多数の反対者を納得させる時間はないのです。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
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ソニーもアップルも…反対を押し切る「社長の英断」が組織を成功に導いた

企業でいえば、イノベーティブな判断は賛成多数の意見にはないといわれています。ソニーのウォークマンは技術者や営業の反対を押し切った当時の社長の英断でした。iPhoneも販売前の市場調査があまりに悪く、マーケティングの結果では、はじめに多くのネガティブな反対意見が出ましたが、ジョブス氏の決断で市場に出されました。

 

そもそも多くの人がよいといっていることをやっているのが現状なので、そうでないものを出さなければ現状打破はできないのです。企業であれば反対多数でも押し通せます。それで利害関係が合わない人は服従を強制されない、つまり辞めればよいだけですから。

 

一方、民主主義国家では…

しかし、民主主義国家ではそうはいきません。反対意見の人間にもバーターでいまの利益を与え、賛成多数まで持ち込まないと実行できない難しさがあります。そのうえでも決めれば反対勢力は声をあげ、いまはそれをインターネットで拡散し、あたかも多数派を装い対抗してきます。

 

だから、決める人は嫌われるのです。それでも、決めたことでそれに従った側が利益を得られればそれは支持につながります。とはいえ、選挙は定期的に来ますから、首相の決断が近視眼的になってもおかしくはありません。筆者は、岸田内閣は故安倍元総理の葬儀をするという決断をしたことで、いままで決めないでいたから下がらなかった支持率が下がったというだけだと考えています。

 

リーダーは決めることで嫌われることを臆せず、意思決定する責任があり、決めても結果が伴わなければそれに対しての責任を問われるのです。そういった存在だからこそ決める権限があるのだといえます。

 

重要なのは判断基準です。岸田内閣の決める基準が、筆者には「支持率を下げないこと」や「選挙で勝つこと」だと感じてしまいます。岸田総理が見るべきは「日本の未来」です。それを念頭に置けば、一時的な支持率の低下は別に大した問題ではないと思えます。

リーダーは信じて部下に強制する

会社の社長のなかにも、社員や部下に嫌われたくないと考える人がいるでしょう。そう考えるのは仕方がないです。いうことを聞かなくなるので指示が通らず仕事がうまくいかなくなります。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

しかし、そういうときこそ、部下や組織の未来の成長を信じていま部下にとって不利益なことでも必要と判断すれば英断し「やりなさい」と強制してみましょう。そのくらいで利益相反するくらいの利益しか与えられていないのであれば、リーダーは務まりません。

 

未来に確実に結果を出せばよいのですから、自分を信じて、決めて、強制してみること。駄目ならやり直せば問題ありません。現代社会にはそれが許される仕組みがあります。ただし、権力に目がくらんでルール違反をした人にはそのチャンスは与えられないので注意してください。

 

 

羽石 普

株式会社識学

営業1部課長/シニアコンサルタント

 

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