フィリピン「地域的包括的経済連携(RCEP)」参加へ…GDP2%増の目論見

2月27日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピン「地域的包括的経済連携(RCEP)」参加へ…GDP2%増の目論見
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は、フィリピンの自由貿易協定RECEPへの加入の最新の動きと、そこで懸念される脆弱な農業分野を革新するビジネス動向についてレポートします。

三井物産も熱視線…インフラ財閥系の農業分野での展開

フィリピンは、RECEPを批准した15の加盟国の中で最後となりました。これにより、フィリピンが再び投資家の注目を集めるようになるという意味で、その効果はすぐに現れると考えられます。マカティビジネスクラブは、RCEPは企業の海外進出、経済の強化、雇用創出の促進に役立つと述べています。

 

上院は、RCEPの実施を監視するための監視委員会の創設など、いくつかの保護手段を盛り込むと共に、密輸を抑止するための適切な国境検査と検疫管理を確保するための規定も入れ込みました。RECEPへの参加で、国際競争にさらされるフィリピンの農業への懸念が指摘されるなか、先進的な農業への取り組みも出てきています。

 

三井物産も出資を検討しているインフラ系財閥メトロパシフィックインベストメンツ(MPIC)のアグリビジネス部門は、イスラエルを拠点とするLRグループと提携して、野菜温室栽培施設に約8億ペソから10億ペソを投資する予定です。この施設は年間1,600トンの野菜を供給する計画です。

 

温室施設であるメトロ・パシフィック・フレッシュ・ファームズ(MPFF)は、国内最大規模といわれ、12か月後には、ブラカン州サンラファエルの22ヘクタールの土地に設置される予定です。テクノロジーを活用し、過去のボトルネックを解消する時が来たとしています。

 

この温室栽培プロジェクトは、はるかに大規模なプラットフォームを立ち上げ、構築するための最初のステップであり、フィリピン人の食生活を根本的に変える大きなエコシステムの一部にすぎないとしています。敷地内の最大15ヘクタールはMPAVの灌漑センター、物流倉庫、梱包施設、エネルギー施設に使用され、残りの7ヘクタールは2つの温室に使用されます。

 

MPFFは、マニラ首都圏と近隣の州にサービスを展開し、農場から食卓に農産物を提供しています。マニラ首都圏の野菜需要は非常に大きく、この施設は、ほんの小さな需要にしか対応できず、これはほんの始まりに過ぎません。将来的には、この施設がもっと必要になり、目的の一部は、地元の農家に自分でこの施設を活用する方法を教えることであると指摘しています。今後、最新のテクノロジーを活用することにより、水と土地を90%削減し、肥料と農薬を90~99%削減することが期待され、野菜の生産コストを劇的に削減するとされています。

 

MPICは、さまざまな農業ベンチャーに投資してきました。これは、乳製品会社Carmen's Best Groupの買収と、最近のココナッツ製品メーカーAxelum Resources Corpへの35%の出資です。同社の次のベンチャーとして、CEOのパンギリナン氏は、温室施設に植えることができない農産物、たとえば米やサトウキビの大規模農業に参入することを目指していると語っています。また、本当の課題は大規模な農業に参入することで、想定され規模とコストを達成するには十分なヘクタールが必要であるとも述べています。

 

※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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