(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

香港ハンセン指数は続落

ハンセン指数 20,423.84 pt (▲0.51%)
中国本土株指数 6,832.76 pt (▲1.33%)
レッドチップ指数 4,004.17 pt (▲0.91%)
売買代金1,146億1百万HK$(前日1,120億6百万HK$)

 

22日、香港政府は次年度予算案を発表し、新型コロナウイルス禍で低迷した景気の押し上げを目指して、消費拡大のための消費券の配布など景気テコ入れ策を打ち出した。

 

消費券の対象者には一人当たり5,000香港ドル(約8万6000円)が配られる。昨年に比べると規模は小さくなるが、市場では新たな消費券の配布を予想していなかったため、金融市場にはこぶりながらサプライズとなった。また、900万香港ドル以下の住宅取得一次取得者に対する税率引き下げを発表した。

 

陳財政官は穏健な財政スタンスを取るとしながらも、2023-24年度予算では544億香港ドル規模の財政赤字を計上するとの見通しを示した。2022年通年の香港のGDP成長率は前年比で3.5%減と落ち込んだが、2023年度はプラス3.5-5.5%成長になるとの予測を公表した。

 

(画像はイメージです/PIXTA)
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香港政府の発表を受けて、ハンセン指数は一時プラス圏まで値を戻したものの、午後には、下げに転じ、同指数は続落して前日比0.51%安で引けた。欧米市場で、金利が一段と上昇し、株価が下げたことで、香港中国市場でも、売り圧力が顕在化した。

 

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比1.38%安と続落、終値ベースで23年に入って上昇していた上げ幅を帳消しとした。

 

電気自動車メーカーの小鵬汽車(9868)は3.6%安、高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は3.1%安、Eコマースの京東集団(9618)は3.0%安、自動車メーカーの理想汽車(2015)は2.9%安と下げた。

 

主要銘柄も総じて安く、保険大手の中国平安保険(2318)は3.1%安、マートフォンの小米集団(1810)は2.5%安、アリババ(9988)は2.4%安、インターネットサービスのテンセント(0700)は1.6%安と下げた。

 

一方、金利の上昇から金融関連株は堅調となり国際銀行のHSBC(0005)は5.3%高、香港大手行のハンセン銀行(0011)は2.7%高、中銀香港(2388)は2.0%高だった。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.46%安の3,291.15、CSI300は同0.9%安の4,106.95と3日ぶりに反落して引けた。

 

景気後退はない程度の「堅調な米国経済」と「笛吹けども踊らない中国経済」。板挟みでじわじわ首を絞められる日本の次の一手に期待したい。

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

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