(※写真はイメージです/PIXTA)

人生の中で、ローンなどの「借金」をし、債務者になることは少なくないと思います。その際、もし「財産開示手続」を迫られたとき、適切な対応を取らなければ、刑事罰を受ける可能性まで有るのです。そうした事態を避けるためにはどうすればよいのでしょうか。相続に必要な知識や相続を円満に進めるコツについて、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届け。今回は、「財産開示手続」についてお伝えします。

財産開示手続を無視すると罰則あり? 書類送検になった事例も

財産開示手続を無視すると罰則があるのか、そして書類送検になった事例もあるのかについて確認しておきましょう。

 

財産開示手続を無視すると罰則あり?

財産開示手続を無視した場合の罰則について見てみましょう。

 

改正によって罰則は厳しいものになり、債務者が財産開示期日に出頭しなかったり、自分の財産について嘘を述べたりした場合は刑事罰が科されることになりました。

 

つまり「執行裁判所の呼出しを受けた財産開示期日において、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓を拒んだ開示義務者」及び「財産開示期日において宣誓をした開示義務者が、正当な理由なく陳述すべき事項について陳述をせず、又は虚偽の陳述をした場合」は、6ヵ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられるのです(改正後の民事執行法213条1項5号・6号)。

 

このように、財産開示手続を無視すると、刑事罰を受けることになりかねないのです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

そして、財産開示手続の申立がなされ、債務者(開示義務者)に財産開示手続に関する手続違背(不出頭、宣誓拒絶、陳述拒絶、虚偽陳述をいう)の行為があったとしても、禁止される行為は、虚偽の陳述をした場合を除き「正当な理由なく」手続違背の行為をした場合に限られます。

 

確かに債権者は、債務者に手続違背の行為があればすぐに事件として告発することもあるかも知れませんが、そのような場合でも、告発を受けた捜査機関は、債務者の手続違背の行為が「正当な理由なく」なされたのかどうか、また虚偽陳述なのかどうかの確認が前提として必要になるはずです。

 

また、今回の改正は、債務者を処罰することが目的ではなく、刑事罰の威嚇のもとに債務者を出頭させ、債務者の財産について情報を提供させることにあるとするのが本来の目的と考えられます。

 

執行裁判所は、債務者(開示義務者)が財産開示期日に出頭しなかった場合、手続的には財産開示手続を終了することも可能ですが、一度だけの不出頭で財産開示期日を終了させるのは、本来の目的にはそぐわないと考えられます。

 

執行裁判所は、債務者に対して出頭を促し、出頭の意思が全くないことが確認できた段階で「財産開示期日」を終了し、誰が告発するかはともかく、手続違背として告発されることもあり得ると思われます。

 

書類送検になった事例もあるの?

書類送検になった事例について見てみましょう。

 

男性介護士(当時34)は男性会社員から数万円を借用しましたが、全く返済しなかったため、男性会社員が財産開示手続の申立をしました。執行裁判所は財産開示手続を実施する旨の決定をし、財産開示期日を指定して男性介護士を呼び出しました。

 

しかし男性介護士が出頭しなかったため、正当な理由なく出頭しなかったとして、令和2年10月20日に男性介護士が民事執行法違反の疑いで書類送検されたと報道されています。

 

もちろん上述した刑事罰からすれば、違反者は裁判で懲役や罰金に処せられるだけでなく、逮捕の可能性もあるわけです。

 

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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