(写真はイメージです/PIXTA)

マンションにおいて、適切な維持・管理のために欠かせない大規模修繕。その重要性について、ニッセイ基礎研究所の渡邊布味子氏が解説していきます。

大規模修繕は、事前の計画が重要である

一方、マンションの外壁タイル、配管、エレベーター、消防設備などの建物の付属的な構成要素や設備の耐用年数は様々で、10年以下ものもあれば、数十年のものもある。こうした設備を壊れてから取り換える場合は、業者を選んだり費用を精査したりする時間が取れず、早急に使用できるよう、簡易的な工事になりがちで費用もかさむ。そもそも大規模修繕には多額の費用がかかる。建物の存続期間において大規模修繕にかかる費用の合計をできるだけ抑えるためには、「何を」、「いつ」、「いくらの費用をかけて」行うかをあらかじめ考え、壊れる前に計画的に適宜実行していかなければならない。

 

そのためには、建物と設備の修復・改修と、設備の交換時期についての長期的包括的な計画(以下、長期修繕計画)が重要となる。また、分譲マンションの所有者の多くは、住宅ローンを抱えており、急な多額の費用負担は難しい。マンションの大規模修繕は、プロの不動産投資家が投資する商用不動産の大規模修繕よりも、さらに慎重かつ計画的に少しずつ資金を準備していかなければ、実現することができないことは念頭に置いておいた方がよいだろう。

長期修繕計画のないマンションは相当数存在する

国土交通省が2021年9月に改訂した長期修繕計画作成ガイドラインによると、長期修繕計画は30年以上で計画し、5年毎に見直す必要があるとしている。

 

ただし、長期修繕計画の作成は義務ではない。国土交通省が2018年11月から12月に行った調査によると、「25年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金を設定するマンションの割合」は全体で53.6%であった。築年別では1969年以前に建築されたマンションで33.3%、1970年から1974年に建築されたマンションで23.3%と低い水準であったが、2015年以降に建築されたマンションでも44.9%と低かった(図表2)

 

【図表2】
【図表2】

この調査時の状況に比べて、ガイドラインの改訂以降の長期修繕計画の作成状況は改善していると推定される。しかし、最近のマンションであっても、長期修繕計画を作成していないマンションが意外に多いことは知っておく必要がある。

 

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    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年1月31日に公開したレポートを転載したものです。

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