(※写真はイメージです/PIXTA)

SNS上で誹謗中傷された。しかも、書き込んだ相手が友人だった…。大抵のケースは、匿名で相手がわからず、問題が複雑化しがちなネットの誹謗中傷問題。もしも、投稿者を特定できている場合は、その後の対応はどうなるのでしょうか。実際ににココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、投稿者を特定できているネット上の誹謗中傷の対処について、小林聖詞弁護士に解説していただきました。

できる限りスクリーンショットを保存して

(※写真はイメージです/PIXTA)
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この点、当該アカウントが「同じ大学の学生から複数名フォローされている」ということですので、フォロワーに知人が多いということであれば、それは一つの考慮要素になると思われます。また、「学校・専攻」が明かされていることも、一つの考慮要素になるでしょう。

 

これに学年などが加わることによって、当該学校の、当該専攻を選択している、当該学年の女性がほとんどいない、ということになれば、投稿の相手がご相談者様であるといえる可能性は十分あるでしょう。

 

これに対し、当該アカウントのフォロワーが、あくまでも同じ大学の学生であって、知人等ではない場合や、当該学校の専攻を選択している学生が学年で何百人といるような場合などは、それだけでは特定として十分ではないように思います。しかし、このような場合も、ご相談者様が、自分のことについて投稿されたという認識をもったわけですから、そこには必ず何かポイントとなる投稿があったはずです。そういった投稿を一から精査することが必要になるでしょう。

 

仮に名誉棄損にあたらない場合、次に、名誉感情の侵害にあたるかを検討します。

 

名誉感情の侵害に当たるか否かは、社会通念上許される限度を超えた侮辱行為と言い得るかどうかによって判断されます。

 

まず、「ストーカー」という文言については、裁判例上、「およそ誰であっても,そのような表現行為をされたならば到底容認することができないと感じる程度のものであるとは認められない」として、名誉感情の侵害にはならないと判断したケースがあります。もちろん、この裁判例も、名誉棄損の時と同様、前後の文章等を踏まえて判断をしていますので、どのようなケースでも「ストーカー」という文言を使ってよいということではありませんが、当然に名誉感情の侵害になるわけではないということに、注意が必要です。

 

これに対し、「消えてくれ」というのは、その人にいなくなってほしいという意味合いが強いものになりますので、場合によっては社会通念上許される限度を超えた侮辱行為と言い得るといえます。それこそ、本件のように、「吐きそう」など、他の軽蔑的な文言などと組み合わせると、より、名誉感情の侵害にあたる可能性が高いといえます。

 

金額の目安ですが、20万円程度から、場合によっては100万円以上の慰謝料となることもあります。

 

最後に、証拠についてですが、当該投稿内容だけでなく、その前後の流れがわかるものも含めて、URLが分かるようにスクリーンショットを取ることが望ましいです。これまで述べてきたとおり、投稿一つ一つだけ見ると、損害賠償請求ができない場合であっても、全体を見ると、損害賠償請求ができるということも十分考えられます。そのため、できる限り広範囲のスクリーンショットを保存しておくとよいでしょう。

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