(※画像はイメージです/PIXTA)

足元の為替相場では、先週3日の米雇用統計の結果を受けて米金利が急騰、これに連れる形で米ドル高・円安が進み、1ドル130円台を回復しました。そのようななか、今週の米ドル/円相場について、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は「さらなる円安」の可能性を示唆しながらも、10日に発表される日銀人事次第では「大荒れの相場展開」を予想しています。それはなぜか、みていきましょう。

円金利は日銀人事に注目…「雨宮総裁」の可能性も

政府は10日にも次期日銀執行部、総裁と2名の副総裁の人事案を発表すると見られています。現在の黒田総裁の路線が継続するなら円金利低下、路線が大きく変わる可能性が出てきた場合は円金利上昇、との位置付けが基本となっているようです(※)。

※2月6日(月)日本経済新聞『日銀次期総裁、雨宮副総裁に打診 政府・与党が最終調整』

 

日銀は、2022年12月の会合で、10年債利回りの許容上限を0.25%から0.5%に拡大することを決定しましたが、すぐに10年債利回りは新たな上限の0.5%近辺に上昇し、上限の再拡大や撤廃を見込む動きが続いています。

 

このため、政府の人事案が、これまでの黒田路線変更の思惑を呼ぶことになった場合、2022年12月の会合直後のように円金利急騰への思惑から円相場も急騰する可能性はあるでしょう。その場合は、一気にこの間の米ドル/円の安値である127.2円近辺の更新含みとなる可能性もありそうです。

 

一方で黒田路線継続の見方が強まった場合は、1月18日の日銀会合において、金利の上限再拡大が見送られた時のように円安方向へ大きく振れる可能性があるでしょう。この1月18日は131円半ばで円安も一巡となりましたが、仮にこの水準を超えてくるようなら、テクニカルには2022年11月以降の米ドル/円急落も一段落し、米ドル反発の可能性が広がることになりそうです。

 

このように日銀執行部の人事案によっては、円安、円高ともに大きく振れる可能性があるでしょう。ただ、すでに一時127円台まで米ドル急落となったところで、米ドル/円の90日MAかい離率はマイナス10%近くまで拡大し、短期的な米ドル安・円高の「行き過ぎ」懸念が高くなっていました(図表6参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表6]米ドル/円の90日MAかい離率(2000年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

それを考えると、仮に円高に振れた場合でもその持続性には自ずと限度があり、逆に円安に振れた場合は、行き過ぎの反動が本格化する始まりになる可能性があるのではないでしょうか。

 

以上を踏まえ、今週の米ドル/円の予想レンジは128~133円で想定したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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