(※写真はイメージです/PIXTA)

「子どもや部下のやる気を引き出したい」「能力を最大限発揮できるよう背中を押したい」そう願う指導者は、どのように導けばいいのでしょうか――。数多くのプロ野球選手、さらにはとんねるずの石橋貴明を輩出した帝京高校野球部。本強豪校の監督として全国制覇を3度経験、甲子園通算51回の勝ち星をあげた名監督・前田三夫氏が自身の経験をもとに、子どもの「伸びしろ」の見つけ方・育て方を解説します。

的確なアドバイスが選手と監督の信頼関係を育む

「お前さんのことは前から見ていたんだけれども、バッターボックスの位置をもう少しベースから離れて構えたほうがいいんじゃないか」

 

「なぜそれが問題となるのか」「そうすることで問題点がどう解消されるのか」といったことを、具体的に伝えるようにしてあげるのです。

 

すると、選手自身がそれまで気づかなかったことや、思いもよらない視点からのアドバイスに納得し、また練習に励むようになっていく。そうして成長した姿が見てとれたときに、あらためて試合で起用すると、活躍する確率が高くなるというわけです。

 

このとき大切なのは、「選手には直接声をかけないけれども、遠くから見守り続けてあげる」というスタンスを保つことです。選手からアドバイスを求められたときに、的確に答えられるということは、その選手のことを日頃からよく見ていたからこそできることなのです。 すると選手自身は、このように感じ取ってくれます。

 

「これまで監督からは技術的なアドバイスをされてこなかったけれども、いつも見ていてくれたからこそ的確に教えてくれたんだな」

 

結果、それが相互の信頼関係へとつながっていくのです。

家族も巻き込んで選手を大人たちみんなで見守る

また、場合によっては親御さんにも話をしておくようにしています。

 

「今、〇〇君は少し伸び悩んでいるので試合では起用していません。けれどもあの子なら絶対乗り越えられると信じています。もう少し時間がかかるかもしれませんが、現状を打破してくれると期待していますから、温かく見守ってあげてください」

 

ときには、こう言っておくと、選手がたとえ落ち込んだ姿を家で見せることがあっても、「監督さんがこの前、こんなことを言っていたな」と親御さんも理解してくれるようになります。

 

反対に、何も言わなければ、選手だけでなく親御さんも不安になってしまうはずです。そうしたネガティブな要素を排除する意味でも、選手の現状を親御さんに伝えてあげることは、実は指導者にとって大切なことだと私は考えているのです。

 

■前田の法則

 

常日頃から選手一人ひとりを観察しておく

 

 

前田 三夫

帝京高等学校硬式野球部 名誉監督

 

※ 本連載は、前田三夫氏の著書『いいところをどんどん伸ばす 帝京高校・前田流 「伸びしろ」の見つけ方・育て方』(日本実業出版社)から一部を抜粋し、再構成したものです

いいところをどんどん伸ばす 帝京高校・前田流 「伸びしろ」の見つけ方・育て方

いいところをどんどん伸ばす 帝京高校・前田流 「伸びしろ」の見つけ方・育て方

前田 三夫

日本実業出版社

◎全国制覇3回、甲子園通算51勝(夏30勝、春21勝) 希代の名将がはじめて明かす 最大限の力を引き出す最適な努力 甲子園の名将として知られ、数多くのプロ野球選手を輩出してきた帝京高校・前田三夫名誉監督。 監督が語る「…

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