(※写真はイメージです/PIXTA)

所有する不動産に自分のほかに所有権を持つ人がいる「共有不動産」は、売却時や管理費負担の所在などで揉めやすくなります。本記事では共有のアパートを持つ、高齢化した兄弟が、アパートが原因で揉めないようにするための方法を、司法書士の近藤崇氏が解説します。

家族(民事)信託を活用することによる課題解決

さて、今回の事例での悩みのタネはなんでしょうか。それぞれの悩みのタネを、法律的リスクに落とし込んでいくと下記のように分解できます。

 

■1.将来的な収益不動産の財産管理の問題→所有者高齢化による財産維持・管理者不在のリスク

 

■2.不動産を売りたいときに売れない→認知症発症による資産凍結のリスク

 

※共有不動産であるため上記リスクも倍

 

■3.子供がいないため承継先が不透明→相続発生時の資産承継のリスク

 

そもそも私たちが普段当たり前のように考えている「所有権」とはどんなものでしょうか。不動産でいえば所有権を持つ者は、不動産を貸し出したり、さらには売却したりする権利を持っています。また一方で不動産を自宅として使ったり、家賃収入を得たりする権利も有しているのもいうまでもありません。つまり、所有権には「管理・処分をする権利」と「利益を享受する権利」の2つの側面があるともいえます。

 

昨今、多くの人が耳にすることが多くなった家族(民事)信託とは、単純にいってしまえば、この2つの「管理・処分をする権利」と「利益を享受する権利」を分解すること、と考えると理解しやすいかもしれません。

 

今回のケースについては、比較的家族信託が問題の解決に適している事案でもあります。

 

■1.将来的な収益不動産の財産管理の問題→所有者高齢化による財産維持・管理者不在のリスク

 

⇒これはABともに「管理をする権利」については手放してもいい。むしろ信頼できる家族の誰かに任せたいと思っています。

 

■2.不動産を売りたいときに売れない→認知症発症による資産凍結のリスク

 

⇒これも1と同様にですが「処分をする権利」を信頼できる誰かに委託したいといえます。

 

■3.子供がいないため承継先が不透明→相続発生時の資産承継のリスク

 

⇒これは相続の話にもなりますが、自分たちが亡くなったあと「管理・処分をする権利」と「利益を享受する権利」をどうするのかという問題になります。

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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