「社員が会社のすべて」リストラをした経営者がリストラをしない会社を創ったワケ

「社員が会社のすべて」リストラをした経営者がリストラをしない会社を創ったワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

「人を大切にしたから業績が向上した」。会社を引き受けた時、会社は債務超過状態。しかし、1年で黒字化し、その後、28年連続の黒字経営。人員削減はゼロです。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)で解説します。


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「人員整理は一切しない」と決意

■人員リストラをした経営者が人員リストラをしない会社を創った

 

「社員が会社のすべてです」

 

こう語るのは、最先端のレーザーを輸入・販売する商社、日本レーザー(本社:東京都)の近藤宣之会長です。近藤さんが会社を引き受けた時、会社は債務超過状態。しかし、1年で黒字化し、その後、28年連続の黒字経営。人員削減はゼロ。

 

「人を大切にしたから業績が向上した」

 

経済記者として大勢の経営者に会いましたが、近藤さんはとりわけ印象に残る経営者です。優しく、柔和な表情。それは人の痛みを知る人にしかできない表情でした。会社員を元気にし、会社員を活かす会社。それは経営者の「心」次第だと思います。

 

「そりゃ、つらかったですね。辞める人はすべてを失うことになるんです」

 

近藤さんは日本レーザーの親会社の日本電子で労働組合の委員長をしていました。大規模なリストラに直面し数百人と面接。「組合費を一番長く払った人間がどうしてこういう雇用犠牲になるんだ」と社員に詰め寄られました。会社の幹部に経営責任は取ってもらいましたが、労組委員長として大規模な人員削減を食い止めることはできませんでした。

 

その後、アメリカに赴任し、今度は自らが幹部としてリストラをすることになります。米ニュージャージーの支店では現地社員を全員解雇。その後、ボストン本社でも現地社員を解雇。

 

「うちの会社を良いと思って来てくれた人たちが涙を流しながら、『なぜですか。なぜ私がレイオフされるんですか』と言うんです。つらかったですね」

 

自らも涙を流しながら、「すべての元凶は赤字だ」という思いが確たるものになりました。

 

帰国後、子会社の日本レーザーの社長に就任した時、人員整理は一切しないと決意しました。

 

「肩を叩いた人は一人もいません。資本の論理で雇用を犠牲にしても会社を存続しようというのをサラリーマンとして体験してきた。自分が責任者になったら雇用だけは守れる会社にしたい」

 

人員削減をしてきた近藤さんは、人員削減をしない経営者になると誓いました。

 

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    本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す/不可能を可能にする/日本人の最後の切り札』(プレジデント社、2022年2月刊)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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    アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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