世界3位のアパレルブランド「ユニクロ」…地方の零細企業が「年間売上2兆円」の大企業に成長した理由

世界3位のアパレルブランド「ユニクロ」…地方の零細企業が「年間売上2兆円」の大企業に成長した理由
※画像はイメージです/PIXTA

ユニクロの親会社であるファーストリテイリングも、40年前は地方の小さな企業に過ぎませんでしたが、いまや年間2兆円を売り上げる世界的な大企業へと成長しました。本記事では「ユニクロ」創業者、柳井正氏の組織マネジメントの観点から成長の理由をみていきます。

 

一見矛盾するが…個人の尊重とチームワーク重視の両立

「社員1人ひとりが自活し、自省し、柔軟な組織のなかで個人の尊重とチームワークを最重視する経営」

 

※参考文献:柳井正『一勝九敗』(新潮社 2003年)

 

個人の自立とチームワークの重視は、一見矛盾するように思えてしまう方もいるでしょうが、個人の役割や責任が明確になっている状態、もしくはそれらを満たしていく過程において、チームワークは大切なものです。個々がチームにとって必要なスタンドプレーを全うすれば、それはチーム全体に貢献することになるのです

社員は各ポジションからユニクロを改善する意識を持つ

「全社最適・全社員一致協力・全部門連動体制の経営」

 

※参考文献:柳井正『一勝九敗』(新潮社 2003年)

 

柳井氏のこの言葉の一部だけを切り取ってしまうと「全員が経営者目線でモノを考える」という組織内の位置を意識していないと勘違いしてしまうかもしれませんが、そうではありません

 

「必要な業務、機能を整理し、社員の役割、目標を明確に定め、組織図を書く」

 

※参考文献:柳井正『一勝九敗』(新潮社 2003年)

 

ここで、「機能」という言葉を使っていることから、組織内における位置を柳井氏が意識していることがわかります。

 

これはつまり、ユニクロの商品やサービスに関し、ユニクロの代表として問題意識を持ち、組織全体で改善していくことが最終的な目的でありながら、各人が現在のポジションにおいて改善する範囲や領域などを機能に従って進めていくという極めて合理的なやり方です。ここをよく理解していないと、組織の目的に向かう過程で衝突や傍観が発生するのは必然的だともいえます。

公明正大、信賞必罰、完全実力主義の経営

柳井氏が組織に正しい競争を起こすために、従業員の評価についても多くのこだわりが見えます。

 

「評価そのものが最上の教育手段となる」
「評価は差をつけるためにもある」

「制度の運用に問題がなく、フィードバックに透明性があれば、実力主義は機能する」

「完全実力主義で評価することが本人のモチベーションの向上につながる」

「評価には公開性と透明性が必要」

 

※参考文献:柳井正『一勝九敗』(新潮社 2003年)

 

平たくいうと、人はわかりやすいものにはわかりやすく反応し、公平なものには納得しやすいということです。原因と結果がわからないものに対して、人は次の行動にスムーズに移ることができません。「なぜだろう」、「どうしたらよいのだろう」と考えてしまいます。 柳井氏はこの停止時間が組織の成長の妨げになると考えているのでしょう。

 

もちろん試行錯誤したり考えたりすること自体は重要ですが、それをいたずらに長く続けることは成果にはつながりません。企業努力の結果が業績に表れるように、従業員の評価にもそうした明確さを持たせることが重要であると考えているのです。

 

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