あの時、病院に行っていれば…命を奪う「心不全」の危険な徴候【専門医が解説】

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あの時、病院に行っていれば…命を奪う「心不全」の危険な徴候【専門医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

ガンに続き、日本人の死因として2番目に多いのが心不全をはじめとした「心疾患」ですが、知識としては知っていても、まだまだ働き盛りの世代は「心不全はお年寄りの病気だろう」と他人事にしてしまいがちです。しかし、森山記念病院循環器センター長の清末有宏先生は「心不全はもっと身近に潜んでいる」といいます。今回は、そんな心不全の初期に現れる「徴候」と、心不全につながる「危険因子」についてみていきましょう。

放置厳禁!心不全につながる「危険因子」

危険因子1.“サイレントキラー”と呼ばれる「高血圧」

「高血圧」は、実は高血圧になっていても普段はなんの自覚症状もなく、気づかないうちに心臓・血管を痛めてしまうため、「サイレントキラー」とも呼ばれます。

 

高血圧というのは簡単にいうと、血管という血液を運搬している土管のなかの圧が高いことですから、高血圧を放置していると当然土管である血管が痛むわけですが、それに加えて心臓はその高い血圧に対抗して全身に血液を供給しなければならなくなるので、心臓にも大きな負荷がかかります。

 

大雑把にいえば、心臓が1日中筋トレをしているような状態になるため、心臓の筋肉が徐々に肥大します。

 

身体の骨格筋は筋トレで鍛えればそれだけ大きな力を発揮できるので悪いことではないですが、心臓の筋肉(心筋)はそういうわけにはいきません。肥大した心筋は徐々にしなやかさを失い、十分な量の血液をくみ上げたり送り出したりすることができなくなります(実際に心筋の壁が分厚くなります)。

 

危険因子2.さまざまな合併症のトリガーとなる「糖尿病」

「糖尿病」はさまざまな合併症を全身的に起こすことが知られていますが、なかでも重要な合併症のひとつが「血管障害」です。

 

心臓は「冠動脈」と呼ばれる専用の血管で栄養・酸素を受け取っていますが、この冠動脈も糖尿病で障害を受けやすいことが知られています。冠動脈は障害を受けると徐々に狭くなってきて、やがて十分な栄養・酸素を十分に運搬できなくなります。

 

この状況は通常であれば胸痛等の自覚症状が出るはずですが、糖尿病のもうひとつの合併症である「神経障害」も同時に起こるため、そのような状況でも無症状のままのことも多く、「気がついたときには心臓の収縮力が低下し心不全を発症していた」という患者さんをしばしば見かけます。

 

糖尿病をお持ちの方に、たとえ症状がなくても定期的な心臓の検査をおすすめするのはこのような理由からです。

 

危険因子3.「心房細動」

「心房細動」はもっとも頻度の高い不整脈のひとつです。発症原因は多岐にわたりますが、確実にいえることは「歳をとればとるほど罹りやすい」ということです。我が国において、高齢化に伴い増えている病気のひとつです。

 

心房細動は脳梗塞の代表的な原因としても挙げられますが(長嶋監督やオシム監督も心房細動が脳梗塞の原因でした)、心不全を誘発する可能性も見逃せません。

 

心房細動になると、「心房」という心臓の上側の部屋がきちんと収縮しなくなるため、それだけでも血流は低下するのですが、加えて脈がバラバラに速くなりがちで(しばしば心拍数が150を超えたりもします)、すると心臓は十分に拡張・収縮する時間的余裕もなくなるので、それに伴って心不全が誘発されます。特に、高齢女性にその傾向が強いことが知られています。

 

危険因子を見つけるには「定期的な検査」を

ここまで、心不全の危険な徴候をみてきましたが、それでは普段どうすればいいのでしょうか。

 

最近は、「BNP」や「NT-proBNP」といった血液検査項目で簡単に心不全があるかどうかを判定することができますので、心配な症状が出たときや、上記のような危険因子をお持ちの方は定期的に検査してもらうのがもっとも簡便です。

 

ここ数年、心不全に対する治療薬が増え、以前に比べると有効性も高まっていますので、ぜひ主治医の先生と相談し、必要なときには専門医への受診をご検討ください。

 

 

清末 有宏

森山記念病院

循環器センター長

 

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