(※写真はイメージです/PIXTA)

親は、子どもたちに自分の財産を平等に分けたいと思うものです。しかし、経営者の相続においては、「事業を継ぐ子」と「それ以外の子」に財産を均等に分けるのは困難だと、牧野FP事務所の牧野CFPはいいます。このような家族では、親が決めた分割方法を事前に子どもたちに話し、承諾させておくことが大切ですが、いざ相続が始まると思わぬ横やりが入ったりと、途端にきょうだい関係が険悪になってしまう場合も……。Kさんの事例をもとに、スムーズな遺産分割のコツについてみていきましょう。

姉が突然「遺留分侵害額請求」をしたワケ

生前納得していたはずの姉Jさんですが、いったいなぜいまさらKさんに「遺留分侵害額請求」をしたのでしょうか。実は、Jさんの夫から「入れ知恵」されていたのです。

 

Jさん自身は、自分のもらう遺産内容は両親の目の前で承諾していますし、「弟のKには両親の面倒を見てくれた恩もあるし」と遺留分侵害額請求のことなどまったく考えていませんでした。

 

しかし、夫は「遺留分はもらって当然」だと話します。悩んだJさんは妹のFさんに相談しようかとも思いましたが、夫があまりにも繰り返し言うので、ついぞ折れ、Kさんにメールしたのです。

 

メールを読んだKさんは、「青天の霹靂とはこのことか」と思いました。と同時に、姉Jさんは学生時代の海外留学費用や成人式の晴れ着代、結婚式にかかる諸費用をはじめ、結婚後もなにかとよく両親にお金をせがんでいたのを思い出し、「これらは遺留分にはならないのか」と腹立たしく思いました。

 

なお、Kさんが姉Jさんからのメール内容を妹のFさんに話したところ、Fさんは「必要であれば遺留分放棄の手続きをする」と言ったそうです。

※ 参考:「遺留分放棄の許可」(裁判所HP)

遺留分が払えない…専門家に相談した結果

従業員を抱え、また妻子との生活もあるKさんの貯蓄は乏しく、Jさんのいう遺留分を用意するには、自宅や工場を売却しなければいけない金額でした。そこで、「打開策はないか」とKさんは顧問税理士とその知り合いの弁護士に相談しました。

 

そして、「このままでは「遺産分割協議書」が作れない。遺産分割を済ませなければ父の遺産は『3人共有』の状態が続くことも考えられるから、遺留分全額は無理としても、なにがしかのお金を渡す話をしたほうがいい」というアドバイスを受けました。

 

そこで、KさんはJさんとFさんと話し合い、結果的に姉Jには遺留分には満たないものの分割して8年間一定額を支払うことで、「遺産協議分割書」を作成することに合意しました。

 

後日、姉Jさんは夫に3人の実印を押した「遺産協議分割書」を見せました。すると、「きょうだい仲がいいんだね」と言ったきり、それ以上はなにも言わなかったそうです。

※「遺産分割協議書」:今回のケースのように遺言書がない相続の場合に、ここでは父のすべての財産を、子ども3人でどのように分割するか決めた内容を明記する書類のこと。通常は当事者がそれぞれの実印を押したのち、1通ずつ保管する。また、この遺産分割協議書は、相続登記や相続税申告、相続税の軽減などの際に必要となる。

 

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