写真:PIXTA

2022年、フィリピン経済は大幅な拡大、投資の伸び、リベンジ需要に支えられ、年平均GDP成長率7.7%を記録。政府の目標範囲6.5~7.5%を上回りました。2023年、この成長を維持する見方がある一方で、厳しい予想も。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が解説します。

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比・経済を支える「海外労働者」からの送金は…

フィリピン統計局は、1月26日に第4四半期のGDPデータを発表する予定です。BSPのデータによると、11月の海外フィリピン人労働者(OFW)による送金は対前年5.7%増加して26億4,400万ドルとなりました。しかし、この金額は、2022年5月の24億3000万ドル以来、半年ぶりの低水準でした。また、10月の29億1100万ドルから9.2%減少しました。

 

1月から11月までの期間、銀行を介した現金送金は、前年の284億3000万ドルから3.3%増加して293億8000万ドルになりました。これは、BSPの2022年の4%の送金成長予測を下回っています。一般のOFWからの現金送金は11月に5.6%増加して20億8000万ドルになり、船員などの海上労働者からの送金は5.9%増加して5億6497万ドルになりました。インフレが加速し続けていることと、クリスマスシーズンのため、OFWは家族により多くの送金を行っているようです。

 

一方で、米ドルに対するペソの下落により、現金送金が6ヵ月ぶりの低水準に落ち込んだ可能性があります。11月までの11ヵ月間では、米国、サウジアラビア、シンガポールからの送金が増加しました。

 

米国は41.4%のシェアを持ち、最大の送金元です。次いで、シンガポール(6.9%)、サウジアラビア(5.8%)、日本(5.1%)、英国(4.7%)、アラブ首長国連邦(4.2%)、カナダ(3.6%)、カタール(2.8%))、台湾(2.7%)、韓国(2.5%)の順でした。上位10カ国からの送金は、11ヵ月間で合計の79.7%を占めています。

 

また、銀行を介さないウエスタンユニオンなどの個人送金は、1年前の27億7000万ドルから11月には5.8%増加して29億3000万ドルになりました。これにより、1~11月累計合計送金額は、326億5000万ドルになり、前年同期から3.4%増加しました。

 

クリスマスや学校での対面授業の再開に向けてより多くの送金を行ったことから、12月の送金の伸びはプラスを維持する可能性が高いと見られています。すべての公立および私立の学校は、11月から5日間の対面授業に移行する必要があると、教育省が発表しました。OFWの送金は、国の経済状況が悪化すると、増加する傾向があります。

 

今回は、国内のインフレ圧力を緩和するために、より多くの送金を行った可能性があります。さらに、12月には海外からのフィリピン人が里帰りしますので、休暇を見越して支出が増加する可能性があります。BSPは、2023年もOFWからの送金が4%増加すると予想しています。

 

以上、今回は2023年のフィリピンの経済成長予想やそのベースとなるインフレ率、金融政策、OFWの動向についてレポートしました。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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