(写真はイメージです/PIXTA)

健康・医療・介護領域のビッグデータを集約したプラットフォームを構築する「データヘルス改革」が進められてきました。また新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえて「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針202)」に掲げ、厚生労働省のなかでは「医療DX令和ビジョン 2030」厚生労働省推進チームが発足しました。ニッセイ基礎研究所の村松容子氏が、データヘルス改革集中改革プランの進捗と、新たに掲げられた医療DX推進で目指すデータプラットフォームの将来像について解説します。

6―おわりに

以上のとおり、健康・医療に関する情報の電子化や共有によって、事務コストの軽減と医療費の削減するシステムが整ってきた。よりこのシステムを効果的に使うためには、患者がマイナンバーカードを使い、医療機関に自分の健康・医療情報を提供したり、マイナポータルを使って自分の健康に関心を持つことが欠かせない。

 

2021年10月にマイナンバーカードを保険証として利用しはじめた当初は、従来の保険証を使うよりマイナンバーカードを使った方が初診料等が高く設定されており、マイナンバーカード利用に対する「逆インセンティブ」と揶揄されたが、2022年10月にその逆インセンティブは解消し、カードリーダを設置している医療機関ではマイナンバーカードを使った方が安くなった。

 

特に、2024年秋以降原則として保険証廃止するという方針の発表は、「マイナンバーカード取得状況と使途・今後利用したいサービス*6」で紹介したとおり、マイナンバーカード取得に向けた強いメッセージとなったと思われる。さらに、2023年4月からは、従来の保険証を使った場合の初診料が当面の間、更に高くなる等、マイナンバーカード利用者の初診料が有利にすることが検討されており、マイナンバーカードの取得・利用を促す力が強く働いている。

 

その一方で、マイナンバーカードやカードリーダは国が想定するほどは普及していない。そこで、次稿では、マイナンバーカード普及状況、医療機関におけるカードリーダ普及状況と、利用意向に関するアンケート調査の結果を紹介する。

 

*6:村松容子「マイナンバーカード取得状況と使途・今後利用したいサービス」ニッセイ基礎研究所 基礎研レポート(2022年11月16日)

 

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    ※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年1月12日に公開したレポートを転載したものです。

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