(※写真はイメージです/PIXTA)

伝統的な経済学では、人はいつでもどこでも合理的であると仮定しますが、現実の私たちは、「損を避けたはずなのに損をする」という変な行動をとることも珍しくありません。太宰北斗氏の著書『行動経済学ってそういうことだったのか! -世界一やさしい「使える経済学」5つの授業-』(ワニブックス)より一部を抜粋し、損得計算をするときに問題となる、私たちの「非合理的な特徴」を見ていきましょう。

損失を回避しようとした結果、損をする

<心の中の基準がグラつくから、行動も計算も一貫しない>

マラソンの「4時間」みたいな目標タイムにも似たような傾向が見られるという研究もあって、まだまだ不思議なことだらけなのですが、ここでお話ししたのは、プロスペクト理論の中でも「価値関数」と呼ばれる部分の解説です。

 

ところで、仮にバーディパットの失敗の分だけスコア改善できていれば、結構、賞金を上げられたようです(図表2)。

 

[図表2]2007年のトッププロから見る損失回避のコスト

 

トッププロともなると、たった1打で大きく賞金が変わることがわかります。ここでも、やはり損を避けたのに、結局損してしまっています。

 

なぜでしょう? 答えはきっと、選択の全体的な構造に注意せず、目の前に提示された問題の枠組みに応じて情報処理を簡素化させ、判断を歪めてしまう「フレーミング」のせいです。
 

 

 

太宰 北斗

名古屋商科大学 商学部 准教授

 

慶應義塾大学卒業後、消費財メーカー勤務を経て、一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了。一橋大学大学院商学研究科特任講師を経て現職。専門は行動ファイナンス、コーポレートガバナンス。

第3回アサヒビール最優秀論文賞受賞。論文「競馬とプロスペクト理論:微小確率の過大評価の実証分析」により行動経済学会より表彰を受ける。

競馬や宝くじ、スポーツなど身近なトピックを交えたり、行動経済学で使われる実験を利用した投資ゲームなどを行ない、多くの学生が関心を持って取り組めるように心がけた授業を行う。

※本連載は、太宰北斗氏の著書『行動経済学ってそういうことだったのか! -世界一やさしい「使える経済学」5つの授業-』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

行動経済学ってそういうことだったのか! -世界一やさしい「使える経済学」5つの授業-

行動経済学ってそういうことだったのか! -世界一やさしい「使える経済学」5つの授業-

太宰 北斗

ワニブックス

「税抜価格を表示したら売上が上がる!?」 「経済学を学ぶと所得が上がる!?」 「競馬で賭けるなら“本命” “大穴”は外すべき!」 「3割バッターが最終試合を休む理由とは?」etc. “リアルに得する経済学”をおもしろい…

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