「業務スーパー」はなぜ物価高でも変わらず「安い」のか? 創業者が語る秘密

「業務スーパー」はなぜ物価高でも変わらず「安い」のか? 創業者が語る秘密
(※写真はイメージです/PIXTA)

「業務スーパー」は、どこも真似できない商品のラインナップと驚くほどの低価格で注目を浴びており、物価高が深刻化するなか、小売業界における存在感をますます大きくしてきています。いったいどのような経営が行われているのでしょうか? 本連載では小売り・流通関係に精通しているジャーナリストの加藤鉱氏が、著書『非常識経営 業務スーパー大躍進のヒミツ』から、業務スーパーの型破りな経営戦略について解説します。

業務スーパーに並べる商品を絞り込んだワケ

店に並ぶのは約3000アイテムで、通常の中型食品スーパーに比べて10分の1以下の品揃え。主力は冷凍食品、それにレトルト、缶詰など賞味期限の長いものだ。賞味期限が短い生鮮品は極力扱わない。

 

なぜアイテム数をここまで絞り込んだのか。沼田の理屈はこうだった。

 

「回転の芳しくない商品を置き続ける非効率が生じさせるコストアップを、お客さんは歓迎しないはず。だからうちは完全に割り切って、売れ筋しか置かないことにしました」

 

通常の食品スーパーなら必ず揃えている国内ナンバーワンのNB(ナショナルブランド)、醬油のキッコーマンやマヨネーズのキユーピーなどをほぼ扱っていないのも特徴的である。これは他店との価格差を付けにくいことと、消費者が業務スーパーにそれを望んでいないというわきまえからだという。

 

輸入品は業務スーパー本部として機能する神戸物産が約40カ国の海外メーカーとダイレクトに取引し開発、商品はすべてコンテナで運ばれる。自社開発商品はおおむね大容量である。

 

商品の発注に関してもロスを生じさせるリスクは徹底的に省かれている。業務スーパーで扱う商品は当然ながら、コンスタントに売れているベーシック商品、要はどうしても欠品してはならない商品と、日本で売れるかどうかわからないチャレンジング性が高い輸入品に大別される。

 

輸入品については、とりあえず最小限ロットの1コンテナだけ輸入して、各店舗でテスト販売を行う。売れるようであれば、次は2コンテナ分を発注することが多い。もともと賞味期限も長いし、神戸物産ではそうした発注ロスはほとんど発生しない。

 

FC加盟店からの発注状況に合わせて計画生産を行うことから、製造面においてもロスが出にくい仕組みになっている。

 

 

加藤 鉱

作家・ジャーナリスト

 

 

非常識経営 業務スーパー大躍進のヒミツ

非常識経営 業務スーパー大躍進のヒミツ

加藤 鉱

ビジネス社

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