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開業医の多くは高収入である一方、勤務医や通常の会社員等とは異なり退職金等がありません。そのため、リタイア後の対策をしていない場合、現役時代の派手な生活水準を落とせずに最悪の場合「老後破産」となる可能性もあると、牧野FP事務所の代表、牧野寿和CFPはいいます。そこで今回、開業医が保険を使って「退職金1億円」を準備する方法について、牧野CFPが年代別に解説します。

年代別でシミュレーション…利用する保険商品

基本的には同じような保険商品を利用します。しかし、保険の加入期間は違いますので、加入する年齢ごとで、保険会社や保険商品も変わります。

 

(1)変額終身保険:「日本円建て」で運用/外貨建ては利用しない

(2)米国ドル建て終身保険:「外貨建て」終身保険で運用/変額保険は利用しない

(3)個人年金保険:変額、外貨建ての商品は利用しない

 

[図表2]年代別、65歳までに保険で1億円貯めるための手段(著者作成)
[図表2]年代別、65歳までに保険で1億円貯めるための手段(著者作成)

 

①45歳から65歳までに1億円貯める

(1)(2)の解約返戻金と(3)の年金総受取額で1億円になるように、保険商品を受取る金額で3等分します。参考までに、45歳から20年間、毎月約41万7,000円ずつ貯めていけば1億円貯蓄できます。

 

②50歳から65歳までに1億円貯める

基本的には、「①の45歳から」と同じように(1)から(3)の保険商品を運用していけば1億円の退職金を手にすることは可能です。ただし、契約する保険会社、保険商品名は変わるでしょう。参考までに、毎月55万6,000円ずつ15年間貯めると1億円になります。

 

③55歳から65歳までに1億円貯める

55歳からの運用では、(1)と(2)の2つの分野の商品を利用します。(3)の個人年金保険は、運用期間が短すぎるので利用しません。

 

10年という短期間で収益を上げるために、また毎月の保険料の支出額も高額になりますので、家計の収支も考慮しながら、また専門家に相談しながら、保険商品を決めていくことが大切です。参考までに、10年で1億円を貯めるには、毎月83万4,000円近く必要です。

 

たとえば、(1)の変額保険では、保険商品の一部に、ハイリスクな外国株式のファンドを組入いれる、(2)でも、保険商品の一部に、リスキーな国の通貨建ての保険を入れるなどして、目標の達成を目指します。または、貯蓄目標額を下げたり、貯蓄の達成時期を遅らせたりすることも検討します。

貯蓄とは「使うお金を先送りする」手続きのこと

これまで業務が忙しくて、貯蓄が不十分だった方にとっては、抜本的な家計支出の見直しが必要になるかもしれません。老後の資金は、収入が得られるうちに準備しておくことが鉄則です。

 

単に貯めるのではなく、貯まっていく金額を確認しながら、使い方を考える。つまり、出費を先送りして、セカンドライフで使うと考えれば、気分も違ってくるでしょう。

 

「豊かな老後」を過ごす準備は早めのスタートが大切です。

 

 

Medical LIVES/シャープファイナンス

牧野FP事務所 牧野寿和CFP

 

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本記事は、「医療と生きる人々が、生の情報で繋がる」をコンセプトにシャープファイナンス株式会社が運営する医療プラットフォーム『Medical LIVES』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。