サラリーマンの生活がいつまでも厳しい根本原因…日本企業の「値上げできない」という“思い込み”

サラリーマンの生活がいつまでも厳しい根本原因…日本企業の「値上げできない」という“思い込み”
(※写真はイメージです/PIXTA)

止まらぬ原油、天然ガスなどの「原材料価格の高騰」…。製造コストを圧迫する現状では、「値上げに踏み切らなくては下請け製造業に未来はない」、と700社を超える中小製造業の経営改善を支援してきた大場正樹氏は言います。本連載では、「値上げできない」は多くの中小製造業の思い込みであると語る大場氏が、「インフレ時代に生き残るための値上げ」について、交渉に勝つ価格設定や、実際の交渉テクニックなど具体的な戦略をわかりやすく解説します。

 

インフレによって従業員の生活は成り立たなくなる

第二に、赤字企業は従業員に支払う給料も安くなります。もしかすると従業員にとても高い給料を支払っているために、人件費がかかり過ぎて赤字になっているという会社も世の中には存在するのかもしれませんが、私はあまり見たことがありません。

 

赤字の会社はたいてい、「給料が安くて申し訳ないけど、会社が赤字だから我慢してくれ」と言って、従業員に低賃金労働を強いているはずです。

 

これまでのようにデフレ社会で物価が下がっていくのであれば、給料がほとんど上がらなくても購買力は実質的には増えていくのでそれで我慢してくれた人もいたかもしれません。しかしこれからはインフレで物価が上がっていくので、賃上げしないと従業員が生活できなくなるのです。

 

そうなったときに従業員がどうするのかといえば、だいたいはもっと高い給料がもらえる職場を探して転職していきます。

 

誰だって仕事はお金のためだけにやっているわけではなく、その人にとって好きな仕事や楽しい仕事、やりがいのある仕事を選ぶものですが、健康で文化的な最低限度の生活ができる給料が支払われることが基本条件です。それが満たされなければ、やりがいも楽しさもどこかに消えてしまいます。

 

仕事を覚えていて経験豊富で頼りになる従業員を失わないようにするためにはどうすればよいのか――答えは賃上げです。

 

そして賃上げをするその原資をどのように得ればよいのかといえば、値上げしかありません。

 

ただでさえ世の中は少子化で人手が不足しています。値上げをしなくても数多く売れるようになればよいと考える人もいるかもしれませんが、数を多く売るためには数多く作れるように生産態勢を整えておかなくてはなりませんし、それだけの人員を確保するためには賃上げが不可欠なのです。

 

※本連載は、2022年9月27日発売の書籍『インフレ時代を生き残る 下請け製造業のための劇的価格交渉術』から抜粋したものです。その後の制度改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

インフレ時代を生き残る 下請け製造業のための劇的価格交渉術

インフレ時代を生き残る 下請け製造業のための劇的価格交渉術

大場 正樹

幻冬舎メディアコンサルティング

バブル崩壊から30年、デフレが続いた日本を未曾有のインフレが襲う。 「値上げできない」という思い込みからの脱却が 原材料価格の高騰に苦しむ下請け製造業の活路を拓く。 これまで700社を超える中小製造業の経営改善…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
TOPへ