
あと2年後の2025年には、団塊の世代がすべて後期高齢者に。一方で、コロナ禍の影響もあり2021年の出生数は81万人にとどまっており、いずれ集計結果が発表される2022年は、それをさらに下回ることが予想されます。そのような背景もあり、日本の年金制度の崩壊を危惧する声が高まっていますが、実情はどうなのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。
少子高齢化で若干減額されても「最重要」に変わりなし
現役世代が高齢者を支えるシステムは、インフレには強いですが、少子高齢化に弱いのが難点です。少ない人数の現役世代が大勢の高齢者を支えなければならないからです。
したがって、年金支給額が少しずつ減っていくことは覚悟しておかなければならないでしょう。それでも、「若い人は将来年金が受け取れない」などということにはならないので、心配は無用です。
厚生労働省の試算によれば、将来の年金支給額が維持できるということになっています。前提が多少甘いので、さすがに少しは減ると思いますが、それでも老後の生活資金を支える最重要の柱であり続けることは間違いないでしょう。
サラリーマンについては、年金保険料が給料天引きなので、選択の余地は大きくありませんが、自営業者や非正規労働者は、老後の生活の安心を考えて、しっかり年金保険料を支払っておくべきだ、と筆者は考えています。
自営業者も公的年金にしっかり頼ろう
自営業者は、1階部分の国民年金しかないので、満額でも夫婦合計で毎月13万円の年金となります。これだけで暮らすのは難しいでしょうが、それでも最大の柱であることは間違いないでしょう。
自営業者は定年がないので、元気な間は働いて大いに稼ぎ、年金で足りない分を補う、ということなのでしょうが、それ以前に重要なことは、若いときに年金保険料をしっかり払っておく、ということでしょう。
若いときに年金保険料の未払いがあると、老後に受け取れる年金額が減ってしまうので、ただでさえ少ない公的年金が老後資金の柱としての役割を果たしてくれなくなったら大変ですから。
ちなみに、お金がなくて年金保険料が払えないという人もいると思います。そういう人は、「払えなくてスミマセン」という書類を提出しましょう。請求書が来たら、無視せずに書類を提出するだけで、様々なメリットが受けられますから。
非正規労働者も厚生年金に加入しよう
サラリーマンでも自営業者でもなく、パートやアルバイトをしている人は、働き方によってサラリーマンと見做されて厚生年金に加入したり見做されなかったりします。
自営業者の配偶者や独身者は、どうせ国民年金保険料を払わなければならないので、厚生年金に加入して厚生年金保険料を支払ったほうが老後の生活が安定してよいでしょう。
問題は、サラリーマンの専業主婦です。サラリーマンの専業主婦は原則として国民年金の保険料を支払う必要がないので、厚生年金保険料を支払いたくないと考えて厚生年金に加入しない働き方を選ぶ人も多いのですが、筆者としては老後の生活の安定を考えれば厚生年金に加入するほうがいいと考えています。
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塚崎 公義
経済評論家