
埼玉県川口市が、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県を対象とした「本当に住みやすい街大賞」(住宅ローン大手ARUHI [アルヒ]主催)で、2020、21年と2年連続でトップになり、注目を集めています。「川口市の場所は分かるけど、どんな街なのかまったく知らない」という人も少なくないようです。川口市は本当に「住みやすい街」なのかどうかをみていきましょう。
コストパフォーマンスが高い
このランキングは、アルヒが融資実行件数を基に、➀住環境、➁交通の利便性、➂コストパフォーマンス、④教育・文化環境、➄発展性―の5つの基準でランキングを策定したもの。理想を含んだ「住みたい街」ではなく、実際にそのエリアで住宅を購入した人数をベースとした「住みやすい街」という点がポイントで、地域は駅単位で、ランキングにおける「川口」は京浜東北線川口駅周辺を指します。
2019年にヒットした映画『翔んで埼玉』では東京と埼玉の間の関所が設けられていた川口市は、本当に住みやすい街なのでしょうか。
東京へのアクセスに優れ、不動産価格が手ごろなことに加え、商店街の再開発が評価されたもので、川口市という街の特筆すべき点は交通の便の良さです。京浜東北線が快速運転で運行している昼間の時間帯は東京駅まで直通で25分程度、普通運転でも30分かかりません。さらに、赤羽で埼京線に乗り換えると池袋駅まで20分、新宿駅まで25分という抜群のアクセスの良さです。にもかかわらず、住宅価格の安さが目を引きます。
荒川を挟んだ隣の東京・赤羽駅の周辺と比較すると、中古マンションは1㎡当たり約20万円も安く、中古マンションの相場が2~3割程度安く購入することができます。もちろん、賃貸物件で借りるにしても、川口駅の隣の西川口駅周辺等は穴場で、徒歩圏で不足のない広さのワンルームマンションが6万円前後で借りることができます。ただ、新築マンションについてはエリア自体の人気が高まっていることもあり、条件の良い物件は都内と同等の価格になるケースもあります。
日常生活を考えた場合に、大型商業施設が充実している点も特徴です。川口駅から徒歩圏内にイトーヨーカ堂系のアリオ川口があり、車の利用を前提とするならイオン系や川口ララガーデンなどの大型商業施設があり、日常的な買い物需要にまったく不足はありません。
唯一惜しまれるのが、川口そごうが2021年2月で閉館したこと。旧店舗ビルは川口駅前の一等地にありますが、跡地の利用に関しては閉館から2年近く経過した時点で、いまだ決まっていない状況です。市内唯一の百貨店が閉館したことで、改まった買物は近隣の浦和や池袋、新宿などに足を延ばす必要があります。