(※写真はイメージです/PIXTA)

相続には十人十色の事情があり、場合によっては家族や親族同士の関係を壊してしまうこともあります。そうした事態を避けるためにはどうすればよいのでしょうか。相続に必要な知識や相続を円満に進めるコツについて、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届けします。

遺言執行者が手続きの進めやすさを左右?

任意で選んでよいケース

遺言による認知や廃除以外で遺言書を作成するケースでは任意選択となります。例えば、相続人や相続財産が多く、誰か一人を遺言執行者にしないと手続きがなかなか進まないかもしれないと感じたら、遺言書で指定しておいた方が無難です。

 

例えば遺言執行者がいない場合、次の手続きでは相続人全員の印鑑登録証明書や実印が必要です。

 

・相続人以外の人(例:子が相続人なのに孫へも遺贈する等)が不動産の受遺者となる場合→法務局で不動産の登記移転手続き

・遺言者の預貯金口座の解約・払い戻し→口座を開設している金融機関での手続き

 

遺言執行者がいれば、不動産の登記移転手続きは「遺言執行者+不動産の受遺者」だけで進められます。また、遺言者の預貯金口座の解約・払い戻しは遺言執行者が単独で行えます。

 

遺言執行者が不要なケース

たとえ遺言書を作成した場合でも、その内容によっては、遺言執行者を指定しなくても手続きが進むケースもあります。

 

例えば相続人が数人(例:配偶者と子2人)だけの場合や相続財産がわずかな場合、相続人以外の人(例:内縁の妻等)が遺贈を受けない場合等、手続きはあまり煩雑とならないと想定される場合です。このようなケースなら、無理に遺言執行者を立てて対応する必要はないでしょう。

遺言執行者になれるのはどんな人? 選任方法についても解説!

遺言執行者は法律上、未成年者・破産者以外の方であれば誰でも就任できます。相続人はもちろん弁護士や司法書士のような士業専門家、信託銀行やNPO法人のような法人も遺言執行者になれます。

 

もしも、次のようなケースがあれば、相続人・受遺者・遺言者の債権者いずれかが家庭裁判所に遺言執行者選任申立てをし、遺言執行者を選任してもらうことも可能です。

 

・遺言書に遺言執行者の記載がなく、手続きが円滑に進むか不安な場合

・遺言執行者に指定されていた人が亡くなった場合

・遺言執行者に指定されていた人が就任を断った場合

 

なお、申立書に遺言執行者の候補者を記載できます。申立てから遺言執行者選任まで2週間~4週間ほどかかります。遺言執行者選任申立ての流れは下記の通りです。

 

1.申立てに必要な戸籍謄本等の書類収集・準備

2.遺言者の最後に住んでいた住所地の家庭裁判所へ提出

3.家庭裁判所は申立人・遺言執行者候補者に照会書(回答書)を送付

4.照会書(回答書)の返送をし、家庭裁判所の審議

5.審判が確定し、家庭裁判所は申立人・遺言執行者に遺言執行者選任審判書謄本を送付

次ページ遺言執行者は相続人と同一人物でもよい?

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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