(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、20年以上の婚姻期間の末に離婚を決断する「熟年離婚」の割合が増加しています。とくに熟年離婚においては、老後の生活が差し迫っているため、婚姻費用・財産分与・慰謝料などお金に関する問題はよりシビアに考えておく必要があります。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、熟年離婚に伴う婚姻費用・財産分与について加藤勇弁護士に解説していただきました。

婚姻費用の支払いについて

NPさんのご家庭では、NPさんの給与振込口座は結婚当初から変わらず、家族の生活費を同口座のお金で賄っていたようですので、万が一、家庭内別居にとどまる場合は、例えば、NPさん本人が負担すべき費用はNPさんの口座から支払い、奥様が負担すべき費用は奥様の口座から支払うように生活費を分けるなど、協力関係を解消する必要があります。

 

もちろん、別居の場合は、婚姻費用を支払う必要がありますので、協力関係の解消と言っても、婚姻費用の支払いはしっかりと行わなければなりません。

 

婚姻費用は、医療保険代、携帯代、光熱費、家賃など、全ての標準的な生活費を含みますので、NPさんのケースにおいても同様です。

 

もっとも、例えば、大病を患っていて毎月高額な医療保険代を支払っているというようなケースでは、婚姻費用として考慮されている標準的な金額を超えている可能性もあります。

 

その場合、超過部分については別途費用負担を求められる可能性もありますので、詳しくはお近くの弁護士に相談されることをお勧めします。

婚姻費用は算定表に基づく金額がベースになる

別居したと言っても、離婚が成立するまでの間は、夫婦である以上、原則、生活費を支払う必要があります。この生活費を専門用語で婚姻費用と言います。

 

婚姻費用を支払う側の立場の方の中には、一切支払いたくないとお話しされる方もいますが、原則、支払義務を免れることはできませんので、支払う必要があるお金は支払われた方が賢明です。

 

また、支払うお金が高い等と金額に対する不満をお話しされる方もいますが、特別な事情がない限り、いわゆる婚姻費用の算定表に基づいて算出された金額は負担する必要があります。

 

婚姻費用を貰う側の立場の方の中には、貰えるお金が少ない等とお話しされる方もいますが、いわゆる婚姻費用の算定表に基づいて算出された金額は、裁判所における話し合いでもベースとされていますので、決して不当な額ではありません。

 

もちろん、支払う側の立場、貰う側の立場、どちらの立場でも特別な事情がある場合は、考慮する必要がありますので、特別な事情があると思われる場合は、専門家のサポートを受けて主張されるのがよいかと思います。

 

財産分与の場合でも、特別な事情がある場合は、漏れなく主張する必要があります。例えば、会社経営者の方の場合、会社員の方とは異なり処理しなければならない問題が多数出てくることがあります。

 

別居や離婚の際は、感情的に相容れない者同士が、婚姻費用や財産分与といったお金の問題を解決する必要がありますので、争いとなってしまうケースも多々あります。

 

冷静に適切な金額を決めることが困難な場合は、お早めにお近くの弁護士に相談されることをお勧めします。

 

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