(写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナによるパンデミック、ウクライナ戦争、米中対立の激化などにより、世界経済の「急減速」が続いています。しかし、そのようななかで2023年の日本経済は先進国のなかでもっとも「底堅い」1年になるだろうと、株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏は予測します。その理由と、2023年の世界経済見通しについて、武者氏が解説します。

米中対立下で緊密化する「日米金融協力」

日本円を考えるうえで日米金融協力も大事である。米中対立下で日米政府間の協力は軍事・外交のみならず、広範に緊密化していることがうかがわれる。

 

円の急落を(620億ドルという相当の対日貿易赤字を抱えている)米国側が容認していることは、ほぼ明らかである。コロナ危機勃発直後のドル調達難に際して米中央銀行が巨額の緊急融資を邦銀に対して行ったことからも、日米金融協力が見て取れる。

 

万が一の円の暴落は米国政府にとっても許容できないはずである。それは直ちに国際金融を不安定化するし、円安が進行すれば日本企業の競争力が強くなり過ぎる。米国で生き残っている数少ない製造業は自動車、半導体製造装置だが、それらにとって日本企業がもっとも手ごわい競争相手であり、産業の利益という観点からも円安に歯止めがかかるはずである。

 

[図表9]米国・日本で2分する半導体装置市場
[図表9]米国・日本で2分する半導体装置市場

 

[図表10]半導体製造装置工程別各国シェア
[図表10]半導体製造装置工程別各国シェア

 

YCCは「2023年末」まで維持か

米国インフレと長期金利のピークアウトという循環的ドル安要因も顕在化しつつある。このように考えればヘッジファンドが期待している、日銀が通貨安を止めるために金融引き締めを余儀なくされる、ということは起きようもない。

 

日銀はじっくり政策目標であるデフレ脱却に自信が持てるまで金融緩和を続けることができる。デフレ完全脱却と株高。次の日銀総裁もインフレターゲットの実現まで利上げを待てる。

 

2023年のドル円レートは150円から130円のレンジか、日銀の政策フリーハンドは続き、YCCは2023年年末まで維持される可能性が高い。

 

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※本記事は、武者リサーチが2022年12月19日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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