(※写真はイメージです/PIXTA)

「ハイリターンを狙うなら、ハイリスクを覚悟すべき」というのは投資の常識です。ところで「ハイリターンを得られる確率」は、どの程度のものなのでしょう? チャレンジが無謀に思えるほど低いのか、それとも、やってみる価値があるのか…。経済評論家の塚崎公義氏が、初心者にもわかるよう平易に解説します。

「ハイリスク×ハイリスク」から生まれる意外な効果

もし大胆でなくても、知恵を使うと「確率的に儲けやすい投資案件」にありつけるかもしれません。

 

たとえば、輸出企業の株は円高になると暴落しかねないリスクの大きな株ですし、輸入企業の株は円安になると暴落しかねないリスクの高い株です。したがって、輸出企業の株も輸入企業の株も、確率的には儲けやすいと考えられます。

 

そこで知恵を使って「両方同時に買う」という選択肢もあります。円高になれば輸出企業の株は暴落するけれども、輸入企業の株は暴騰するのでリスク小、というわけです。円安でも輸入企業株が暴落する間に、輸出企業株が暴騰するのでリスク小、というわけです。

 

実際には、確率的に儲かる株を2つ持っているので、合計は確率的に儲かるはずです。つまり、暴騰と暴落が打ち消し合うので、両方合計の株価が暴落するリスクは小さい一方で、確率的には結構な儲けが期待できる、というわけですね。

「だれにとってのリスクか」という視点も忘れずに

日本人が米国債を持つと、円高で損をするかもしれない、という為替リスクがあります。日本人がトルコ国債を買っても同様です。もちろん、為替リスクの大きさは違うでしょうが。

 

一方、米国人が米国債を持つのは為替リスクがありません。つまり、米国人にとってはトルコ国債は為替リスクがあるので買いたくないわけです。ということは、トルコ国債は確率的には結構儲かるような金利になっているはずです。

 

日本人にとっては、米国債もトルコ国債も為替リスクがあるならば、金利が高いトルコ国債を買うほうが確率的には儲かるわけで、米国人は米国債を買い、日本人はトルコ国債を買う、といった棲み分けが生じるかもしれませんね。

 

日本人サラリーマンの投資について考えると、輸出企業の社員は円高になるとボーナスが減るかもしれませんから、輸入企業の株を持っているといいかもしれません。円高になるとボーナスは減るけれど、持っている輸入企業の株は上がる可能性が高いからです。

 

反対に、輸入企業の社員は、円安になるとボーナスが減りかねませんから、輸出企業の株を持っているといいかもしれません。

 

サラリーマンの株式投資というと、自社やライバルの会社についてはよく知っているので、どうしても自社や同業者の株を買いたくなるのですが、合理的に考えるなら、まったく違う業種の株を買う方が安全だ、というわけですね。

 

とはいえ、トルコ国債や新興成長企業の株は、確率的には儲けやすいわけですが、大損する可能性もあるわけですから、くれぐれも老後資金ではなく小遣いの範囲内で投資をしましょう。大事な老後資金が運悪く激減してしまったら、悲惨な老後を過ごすはめになりかねませんから。

学者によるリスクの解説が、いまいちピンとこないワケ

最後は余談です。教科書には学者の「リスクというのは、値動きの激しさのことである」といった説明が書いてあります。つまり、〈大儲けできるか大損するかわからないことがリスク〉だというわけです。

 

一般人がリスクという言葉を使う場合は「損する可能性」のことを意味していますが、学者の意味は違うのですね。彼らの世界では、詐欺師に金を預けるのはリスクではないのです。必ず損すると決まっているわけですから(笑)。

 

彼らは「リスクは嫌なものである。それでも、確率的に十分儲かるような投資案件があるならば、投資をしてもよい。逆にいえば、リスクのある投資を実行するならば、確率的に十分儲かるような投資でなければならない」というわけです。

 

投資の教科書などを読んで勉強しようとすると、頭が混乱する人がいるようですが、学者と一般人の違いを理解してから読むと、混乱度合いが小さくてすむかもしれませんよ。

 

本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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