※画像はイメージです/PIXTA

経験者に限った採用には限界があるため、候補者の母数獲得のためにもさまざまな企業で採用されている「未経験者」。しかし、うまく育成できないと早期退職されてしまい、結果としてコスト高となっている企業も少なくありません。では、未経験者を即戦力にするにはどうすればよいのでしょうか? ポイントを中心に解説します。

 

未経験者育成の「仕組み」を構築するメリット

未経験者育成の仕組みを構築することは、未経験で入社してきた人を迷わせず、早期に戦略化するために必要です。育成する側にとっても、新人を適切に管理できるだけでなく、仕組みを見直していくことで無駄な工数を減らしていくことが可能になります。

 

ただ、私が育成の仕組みの構築を強く推奨するのには、ほかにもメリットがあるからです。ここからは、代表的なメリットを以下に紹介いたします。

 

採用活動で利用できる

以前、私の元上司に「やらせる側が3年後をイメージできていなければ、やる側は3年もたない」と言われたことがあり、私はこの言葉を忘れずに守り続けています。採用であってもこの言葉は重要です。

 

採用候補者にキャリアパスを伝えることができるということは、ミスマッチを防ぎ、採用候補者を安心させるだけではなく、応募数自体をアップさせることにもつながります。キャリアパスを示せない会社より、示せる会社が選択される可能性が高いのは当然でしょう。

 

また、キャリアパスとそれを達成するための6ヵ月程度の育成の仕組みを採用時に示すことで、採用候補者は入社後のイメージをつくることができ、採用面接時に「入社後1週間なにをしますか」と質問すると答えが返ってきます。そして、採用決定したあとに「必要なものはありませんか」と質問すると、多くの方が「最初のステップをクリアするための教材やマニュアルを先にもらうことはできますか」といった内容の返答をしてくれます。そうです、彼らは初日から「働ける状態」で出社してくれるのです。

 

復職者、再教育が必要な社員に利用できる

育児休業など、長期間業務から離れていたスタッフの再教育にも有効です。こういった人たちは、復職時に「できる人」として扱われ、休む前と変わっていない状態を求められるケースが多いのですが、果たしてそうでしょうか。長期間職場を離れ、育児などに集中していたあいだのブランクにより、休む前よりはパフォーマンスが落ちています。

 

また、そのあいだに環境が変わり、組織内のルールも変更されている可能性が高く、そのルール変更を知らされていません。そのせいで、変化についていけずに離職してしまう悲しいケースもよく耳にします。

 

そこで、復職者を育成の仕組みに乗せることで、リハビリにもなり、その間のルール変更を確認してもらうのです。一定期間(未経験者よりはクリアが格段に早いです)の再教育期間は必要ですが、この手順を踏むことで離職やルールの形骸化(復職した人が古いルールで働くことでルールが崩れる)を防ぐことができるのであれば、有意義な時間ではないでしょうか。未経験者のための育成の仕組みは、経験者にも有効なのです。

 

また、いったん育成したのにパフォーマンスが落ちてしまったり、ミスを連発したりした人が現れたときも、この仕組みが役立ちます。パフォーマンスやミスに定量的な基準を設定し、それを下回った人には、「ステップOOの育成段階まで戻る」といったルールを設けておくことで、同じミスをしないように正しい手順を学び直させることができ、管理者が感情的にならずにルールにのっとって再教育の仕組みに乗せることが可能になるのです。

 

育成される側を「育成され待ち」状態にさせない

育成の仕組みが構築されていると、それに沿って必要なインプットを行い、部下に育成のステップを早く進ませることが育成責任者の仕事だとはっきりします。

 

ここで注意が必要なのは、育成責任者の責任のみが認識され、育成される側が「育成され待ち」の状態になったり、組織全体として育成責任者にのみ責任があるような管理をしてしまったりすることで、新人の「お客さま状態」をつくってしまうという失敗です。私は、この失敗事例を多く見てきました。そのなかには、育成される側も組織としても失敗したという認識がないケースも少なくありません。

 

新人にとっては、採用時にキャリアパスを提示され、自分にとって有益だと判断して選択した会社です。そのなかでより高い給与や評価を獲得し、成長を勝ち取っていくことは、誰よりも育成される側の本人にとって有益なことなのは間違いありません。つまり、育成される側には、育成してもらえる権限と同時に成長する責任があるのです。

 

この点を、育成する側もされる側も認識できていなければ、育成が成功する確率は大きく下がります。両者が自責を認識できる仕組みを構築することが成功の鍵なのです。

 

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本記事は株式会社識学の識学総研のブログ・コラムを転載したものです。

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