(※画像はイメージです/PIXTA)

ある日突然脳出血の後遺症で47歳の夫が失語症になったら、あなたはどうしますか? 夫が失語症になったことをきっかけに、言語リハビリの専門家である言語聴覚士の資格を取得した米谷瑞恵氏が、発症から最初の2年半を夫婦がどう過ごしてきたのかをお話しします。本連載では、米谷瑞恵氏の著書『こう見えて失語症です』(主婦の友社刊)を一部抜粋してお届けします。

一人で留守番できるかな

退院してからも、病院でのリハビリは続けられることになった。理学療法と作業療法は終了で、言語聴覚訓練のために週に2回通院する。

 

逆に言うと、通院がない日はずっと家にいることになる。一方、私は毎日、仕事で出かけるので、オット一人で留守番だ。

 

いや、それは困るぞ。

 

この頃のオットは失語症のほかに「失行」という高次脳機能障害の症状も少し残っていて、モノの使い方がわからないことがあった。昼食用にレトルトカレーを準備して、ガスコンロは危ないから電子レンジを使って、と伝えると、はてどうするものかと電子レンジの前でたたずんでしまうのだ。ううむ。

 

平日の昼間、オットが安全に過ごせて、できれば言葉のリハビリもできる場所はないか。

 

ネット検索しても見つからない。

 

今思うと、介護保険制度を使ってデイサービスを利用するという手もあった。介護保険は65歳以上が対象だが、脳出血など特定疾病の人は40歳から利用できる。当時47歳のオットは、認定を受ければ通うことができたのだ。でも、その頃はそんな知識はなく、退院時に相談した病院のソーシャルワーカーからも申請をすすめられなかった。体に麻痺のない失語症なので、申請しても要介護・要支援になりづらいと判断されたのかもしれない。

 

また、これもあとで知ったことだが、言語聴覚士がいるデイサービスは非常に少ない。介護保険で探したとしても、オットのような「失語症だけが強く残った40代」が通える場所は、おそらく見つからなかっただろう。

こう見えて失語症です

こう見えて失語症です

米谷 瑞恵

主婦の友社

ある日突然脳出血の後遺症で47歳の夫が失語症になったら、あなたはどうしますか?  そもそも失語症って何? 家族はどうすればいいの? 退院後の生活はどう変わる? コミュニケ―ションはどうすればいい? 仕事に戻れるの?…

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