(※写真はイメージです/PIXTA)

資産運用には、主な株式投資や不動産投資のほか、企業が発行する債券を購入するという方法があります。投資とは特性の異なる債券を運用ポートフォリオに組み込むことで、リスクを軽減する作用が期待できます。本記事では、債券について具体的事例を交えて、資産コンサルティング業務の専門家である田邊陽吉氏が解説します。連載第3回目となる今回は、債券単価について抑えておきたい3つのポイントについて見ていきましょう。

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      インカムゲインとキャピタルゲインを同時に得るには

      ポイント③ 債券単価の上昇を狙う

      最後に、3つ目のポイントについて。単価の上昇を狙うことができるということである。債券の話をすると、「インカムゲイン(株式や債券などの資産を保有中に得られる収益のこと)がメインの金融商品なんでしょう?」と言われることがよくある。

       

      ところが実は、債券も株式と同じようにキャピタルゲイン(株式や債券などの資産を保有中に得られる収益のこと)を狙える商品なのだ。債券単価は変動するが、その変動要因は、主に金利であり、ここでの金利とは国債の利回りを指す。

       

      運用の世界では、国債が最もリスクが低いと考えられており、社債の利回りは、その国債の利回りに企業の破綻リスクを載せたものになる。

       

      そのため、新しく発行される国債の利回りが上がると、社債を持っている人々は、リスクの高い社債を保有している魅力が減るため、持っている社債を売って、リスクの低い国債を買おうとする。そうすることによって社債が売られ、債券単価が下がっていくという仕組みである。

       

      金利が下がったタイミングについても同様であるため、一般的に、金利が上がると社債の単価は下がり、金利が下がると社債の単価は上がる。この債券単価の変動はデュレーションが長ければ長いほど大きくなる。

       

      デュレーションとは、債券の投資元本の回収に要する期間のことを表す。端的に言うと、償還までの年数と考えていただければいいと思う。要するに、デュレーションが長期である債券の方が債券単価の変動が大きいのだ。

       

      そのため、単価の上昇を機に利益を得るには、長期の債券を金利が上がったタイミングで購入し、金利が下がった債券を売却するのがよい。

      コロナショックによる米国の利上げを利用した好事例

      「実際に債券でキャピタルゲインはどれくらいとれるの?」というところが気になるところだと思う。

       

      実際に債券単価の上昇で益を得た事例を紹介させていただく。2018年から2020年のコロナショックにかけて、アメリカの長期金利が3.2%から一気に0.5%まで急低下した時期があった。

       

      その時期に私がおすすめしていた債券にゴールドマンサックスの社債がある。この時期は、金利の急低下に合わせて、ゴールドマンサックスの社債単価が101.57%から、155.94%まで上昇した。

       

      本期間は約1年半である。わずか約1年半で約55%ものキャピタルゲインが獲れたのだ。尚且つ、この債券のクーポン「5.75%」が1年半分入ってくるため、約8%のインカムゲインを得ながら、50%以上のキャピタルゲインを獲れたという好事例である。

       

      このように世の中の金利が上がっているタイミングでは、長期の債券をもつことで債券単価の上昇を狙うことができる。現在、アメリカの金利は急激な利上げにより、ピーク時に比べてやや下がってきてはいるものの、非常に高い水準にある。これからおとずれると予想される景気後退局面を鑑みると、今後金利が引き下げられる可能性は高い。

       

      そうなると、2018年から2020年の時期のように債券単価の上昇を狙える可能性は高い見通しである。ここまで、長く説明をしてきたが、難しい相場環境のなかにおいて、長期の債券は非常に有効な投資戦略ではないだろうか。

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