30年で大きく進化…不整脈に効果的な薬の「新常識」【専門医が解説】

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30年で大きく進化…不整脈に効果的な薬の「新常識」【専門医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

不整脈と診断されたとき、まず選択肢のひとつとなる薬物療法。不整脈に対する薬物療法はこの30年間で大きく進化し、さまざまな新薬が開発されています。しかし、具体的な病名や症状によって正しく薬を使い分けなければ、思わぬ副作用に悩まされたり、最悪命が危険にさらされることも……。今回は、患者自身も知っておきたい不整脈に効果的な薬とその選び方について、東京ハートリズムクリニックの桑原大志院長が解説します。

脈が速くなる「頻脈性不整脈」に効果的な3つの薬

頻脈性不整脈に対して行われる薬物療法を簡単にいうと、

 

A.心拍数を遅くする薬
B.不整脈を起こさないようにする薬
C.血液を凝固させずサラサラにする薬

 

の3つに分けられます。

 

Aの心拍数を遅くする薬は、心房細動、洞性頻脈、発作性上室性頻拍症、心室頻拍、QT延長症候群など、ほとんどの頻脈性不整脈を対象に用いられます。実際に使用される薬品名は、以下の3つです。

 

1.βブロッカー

心臓にある交感神経のβ受容体を遮断することで心拍をおさえ、心臓を休ませる働きがある。医薬品名は「ビソプロロール」「アテノロール」。

 

2.カルシウム拮抗薬

血管の筋肉に対するカルシウムの働きを抑えることで心筋の異常な収縮を抑え、脈を整える。医薬品名は「ベラパミル」「ジルチアゼム」。

 

3.ジギタリス製剤

筋細胞内のカルシウムイオン濃度を高め、心筋の収縮力を強くすることで心不全などの症状を改善したり、速すぎる脈を抑えたりする。医薬品名は「ジゴキシン」

 

このように、それぞれの薬は異なる効果を持っていますが、なかでも特に注意したいのが「ジギタリス」です。

 

ジギタリスは、以前から強心剤として用いられていた薬で、副作用に「黄視(景色が黄色っぽく見えること)」が挙げられます。画家のゴッホの絵に黄色がかったものが多い理由は、この薬を服用していたからという説もあります。

心房細動には「βブロッカー」

頻脈性の不整脈のうち、高齢になるほど発症率が高くなり、今後、高齢化が進むのに伴って、ますます患者数は増えるだろうと予測されている「心房細動」です。

 

心房細動に対して処方される第一選択薬は心不全の予後改善効果がある「βブロッカー」です。研究により、他の薬に比べて予後が非常に良好であることが明らかになっています
※ JACC Heart Fail 2017; 5:99-106

 

近年の研究で「薬の量を減らしても問題ない」ことが判明

一般的に、成人の正常な心拍数が安静時1分間に60〜80回程度なのに対し、心房細動の患者さんは心拍数が140〜150回と高くなります。しかし、先にご紹介した治療薬「βブロッカー」で心拍数を正常値の80回程度にまで下げる必要はありません。

 

以前はどの医師も、たくさんの薬を使って心拍数を8回以下まで下げようと必死でしたが、2010年に発表された研究結果により、心拍数が80回以下でも110回以下でも、心房細動の患者の予後に変わりがないことがわかりました
※ N Engl J Med. 2010; 362:1363

 

そのため、心房細動の患者さんの心拍数は現在、110以下程度にすることが目標とされています。

 

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