(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産業者がせっかく優良な不動産物件を扱えても、その物件にまつわる複雑な法律トラブルがあると、物件が適正価格で売れず、依頼者の希望に添えないことがあります。そこで、せっかくのビジネスチャンスを失わないため有効なのが、法律の専門家である弁護士との「協業」です。そこで、弁護士として不動産関係の数々の法律問題を解決してきた実績をもつ鈴木洋平氏が、不動産業者と弁護士の協業について事例を交え解説します。

【事例2】長年介護してきた母親の自宅を売却

【登場人物】

  • Aさん:母
  • Bさん:長女(Aさん名義の自宅不動産に同居してAさんの介護をしてきた)
  • C~Fさん:二女ら(それぞれ独立しておりAさんの介護には関わっていない)

 

この事例における6名の関係
【図表2】事例2における6名の関係

 

ある日、Aさんは脳梗塞を発症し、その後遺症で左片麻痺となってしまいました。Bさんはその後自宅で介護を続けましたが、15年後にAさんは亡くなりました。

 

そのため、B~Fさんの5人で遺産分割協議を開始しましたが、難航しました。理由は、Aさんの遺産が自宅不動産(評価5000万円)しかなかったからです。Bさんは、15年間も要介護3で途中から4になったAさんを在宅介護してきたので、この自宅不動産は自分のものになると考えていました。そこで、近所の不動産業者に売却の依頼をしました。

 

しかし、不動産業者は、Aさんの遺言書がないと聞き、Aさんの自宅不動産をすべてBさんの名義にすることはできないのではないかと思いました。だからといってすぐに無理とは言い切れないので、普段からつながりのある弁護士に相談することにしました。

 

弁護士の見解としては、やはりAさんに遺言書がない以上、いくらBさんがAさんの介護に尽力していたとしてもAさんの遺産をすべてBさんのものとすることはできない、というものでした。

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