(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産業者がせっかく優良な不動産物件を扱えても、その物件にまつわる複雑な法律トラブルがあると、物件が適正価格で売れず、依頼者の希望に添えないことがあります。そこで、せっかくのビジネスチャンスを失わないため有効なのが、法律の専門家である弁護士との「協業」です。そこで、弁護士として不動産関係の数々の法律問題を解決してきた実績をもつ鈴木洋平氏が、不動産業者と弁護士の協業について事例を交え解説します。

納税額をゼロにするために利用した特例

さて、今回の事例に登場した「居住用財産の特例」「小規模宅地等の特例」について説明しておきましょう。通常、遺産の額が3000万円+相続人の数×600万円を超える場合は、相続税の納付が必要になります。また、購入時の価格と売却時の価格の差については、所得税の納付が必要になります。

 

しかし、まず、「居住用財産の特例」には、3000万円の特別控除と10年所有の軽減税率があります。前者は譲渡益のうち3000万円まで控除できる、後者は10年以上所有した居住用の不動産であれば通常約20%の税率が約14%となるというものです。

 

たとえば、自宅不動産の売却益が5000万円として両方が適用されれば3000万円を控除した2000万円に対する約14%、つまり約280万円の納税で済むことになります。これらの特例が利用できない場合は、5000万円に対して約1000万円の納税が必要になりますから、節税効果は極めて高いものといえます。

 

次に「小規模宅地等の特例」は、相続人である親族が被相続人と同居していれば土地の評価額を最大80%減額できるという制度です。具体的には相続税申告期限まで住居を所有し、居住していなければなりません。ただし、やむを得ず単身赴任していた、被相続人に介護が必要で老人ホームなどの施設に入居していた、といった場合は同居とみなしてもらえます。

 

また、「代償分割」という方法を選択すると、この事例のように売却手続きが1人だけで済みます。特に相続人が多数になるときはこの方法が便利です。ただし、売却後にCさんがBさんにきちんと代償金を支払うという約束を果たすかどうかを担保するために、弁護士等の専門家が関与するのが得策です。

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不動産業者のための 弁護士との「協業」のすすめ

不動産業者のための 弁護士との「協業」のすすめ

鈴木 洋平

幻冬舎

相続、担保、借地・借家…… 不動産業者が直面する法律問題は弁護士との「協業」で解決! 不動産取引を成功に導く「協業」のポイントを 8つの成功ストーリーで徹底解説。 不動産業者必読の一冊! 「仕事になりそうな…

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