最悪の場合、システムそのものを捨てる選択も…業務システムの統合を阻む「ベンダーロックイン」とは?

最悪の場合、システムそのものを捨てる選択も…業務システムの統合を阻む「ベンダーロックイン」とは?
(写真はイメージです/PIXTA)

仕組みを整えて効率化をはかり、起きた出来事の記録や作業の内容を無駄なく自社の財産として管理する「業務統合システム」。DX推進の際、少ない人手でこれまで以上の業務をクリアするための方策として注目されていますが、システムの開発・構築の際には「ベンダーロックイン」に陥らないよう注意が必要です。「ベンダーロックイン」とはなんでしょうか? みていきます。

 

ベンダーロックインに陥りやすいシチュエーション

わかりやすいところでいえば、システム開発会社が開発に使用しているプラットフォームや言語で判断することです。

 

プラットフォームでいえば、親会社がアップルで、世界的に使われているメジャーなプラットフォームにファイルメーカー(クラリス社)があります。親会社が親会社ですから、世界一廃れにくいプラットフォームで、各業界、各開発会社がそろって使用しているため、汎用性・互換性が高いことでも知られています。

 

一方、言語でいえば、今現在使われていても、将来性が疑われている言語は避けるべきでしょう。次々と登場する新しい言語に対して、だんだんと専門家が減っていくなどの現象が出てくるからです。つまり、今は良くても、10年後、15年後を見据えたときに、間接的なロックイン状態に陥る可能性が否定できません。

 

このように今はあまり使われていない言語を使用したいと申し出てきた場合には、汎用性、互換性についての確認を徹底したほうがよいでしょう。Excelなどで保有している過去のデータと互換性を保つことができ、もしもベンダーによるサービス停止やベンダーの破綻に見舞われたとしても、データそのものを損なってしまったり、巨額のコストをかけて再データ化する必要がないかどうかなど、見極めが必要です。

 

余談ですが、著者の経営するシステム開発会社でも、ファイルメーカーを使用しています。日本だけでも150社あまりのシステム開発会社がファイルメーカーによるサービスを開始していますので、万が一、弊社が対応できないとなったときに、カスタマイズやサポートをできる会社は存在するため、ベンダーロックインを回避できると考えてのことでした。

 

もっとも、開発途中に誰でも彼でも勝手に中にアクセスできてはいけませんので、汎用性・互換性があるといっても、システムに対して厳重にカギをかける必要があります。万が一、サービスできなくなったタイミングには、カギをオープンにして、誰でも情報をエクスポートできる状態にするのが理想のあり方です。そうすることでクライアントに長期的に安心して使ってもらえる施策の1つにできるといえます。

 

 

小松延顕

株式会社Office Concierge(オフィス コンシェルジュ)

代表

 

 

本記事は、小松延顕氏が監修した『10年後に生き残るための 建設DXの現在地 デジタル化で目指す持続する中小建設業』(サンルクス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

10年後に生き残るための 建設DXの現在地 デジタル化で目指す持続する中小建設業

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小松 延顕

サンルクス

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