(※写真はイメージです/PIXTA)

急速に進んだ円安が物価を押し上げ、消費が伸び悩む。今年はこうした円安のデメリットが語られる場面が多く、メディアも「悪い円安」と盛んに報じていました。しかしストラテジストの菅下清廣氏は、むしろ「いい円安」といいます。なぜなのでしょうか、みていきます。

ウクライナ戦争が日本を繁栄させる理由

冒頭の「株式相場で資産インフレが始まる」という予想が成り立つのは、ウクライナ戦争の長期化も理由のひとつとなっています。これは歴史をひもとけばわかりますが、いかなる戦争も世界と日本にインフレを呼び込みます。これはわかりやすい理屈です。戦争が起これば通常の生産活動はできなくなるからです。

 

今回のウクライナ戦争は第1次世界大戦や第2次世界大戦ほど大規模ではありませんが、少なくとも欧州の生産活動は停滞します。ウクライナは小麦など穀物の倉庫と言われている農業大国でしたが、黒海にロシア艦隊がいるために輸出ができないので、すでに小麦など穀物の値段はどんどん上がっています。

 

戦争が起これば物資不足になるから、これはインフレにならざるをえない。第1次世界大戦のときは、戦場が欧州だったので、戦場から遠かった日本とアメリカは物資をどんどん輸出して、ものすごく景気がよくなりました。第1次世界大戦特需ブームが日本に起こりました。1914年から1918年まで特需ブームがあった。このとき、「成金」という言葉が生まれました。船成金と言われて、海運業がめちゃくちゃ儲かりました。ボロ船にいろいろな物資を積んでヨーロッパに運ぶだけで、面白いように儲かったのです。

 

それだけでなく、この第1次世界大戦のときは船賃が急騰しました。1914年に第1次世界大戦が起こって、その年末には船賃が2倍になりましたが、それで驚いていたらたいへんです。調べてわかったことですが、翌年の1915年には船賃は何倍になったと思いますか。なんと8倍にもなっている。さらに翌年の1916年には16倍になりました。そして、戦争が終わる直前には28倍にもなった。

 

今回、そこまでの運賃の高騰は起こらないでしょうが、コロナのパンデミックが起きてから、世界の輸送ネットワークの大混乱が続いていました。そこにウクライナ戦争が勃発したのですから運賃は急上昇です。こうした影響もあって、日本郵船、商船三井、川崎汽船などの海運株が非常に上がって、すでにこの1年で日本郵船や商船三井の株価は10倍以上になったりしています。

 

ただし、こういう海運株の高騰は、いま戦争特需でめちゃくちゃ儲かっているけれども戦争が終わると急落する可能性があるので、こういう銘柄は気をつけなければいけない。ウクライナ戦争で停戦合意などという可能性が出てくると、海運株相場からは早めに退却しないと急落することもありえます。

 

ウクライナ戦争は、ウクライナ国民の犠牲を考えると一日も早く終わってほしいのですが、ウクライナのゼレンスキー大統領もロシアのプーチン大統領もいまはお互い一歩も譲らないという対立構造にはまってしまっているので、長期化する可能性が高い。これが日本に特需ブームを呼び込む可能性があります。

 

 

菅下 清廣

スガシタパートナーズ株式会社

代表取締役社長

 

 

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本記事は、菅下清氏の著書『史上最強の資産インフレ相場で大化けする日本株を買え! 大円安・インフレで1000兆円が動き出す』(徳間書店)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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