(※写真はイメージです/PIXTA)

中小企業が銀行から融資を受けるには、どうすればよいのでしょうか? 菊地宏氏の著書『会社の総資産額は少ないほうがいい』(時事通信社)より、「いますぐできること」を見ていきましょう。かつて銀行員として約1,000社に及ぶ会社の融資に携わってきた筆者が、お金を借りる極意を伝授します。

 

③雇用調整助成金の勘定科目を変更する

新型コロナウイルス感染症などの影響を受け、雇用の維持を図るために社員へ支給した休業手当や賃金の一部を国が助成する「雇用調整助成金」を受け取った会社は多いでしょう。

 

決算の際、これをどの勘定科目に入れるかによって決算書の数字が変わり、融資にあたって有利になります。

 

多くの会社は国から支給された雇用調整助成金を「雑収入」の科目に入れていると思います。しかし、雇用調整助成金によって休業手当や賃金の一部を受け取り、支払うべき人件費を減らすことができたわけですから、最初から人件費の金額から差し引く計上方法も理に適うと言えます。これも実例で見てみましょう(図表4)。

 

出所:菊地宏著『会社の総資産額は少ないほうがいい』(時事通信社)
[図表4]③雇用調整助成金の勘定科目を変更する:Before 出所:菊地宏著『会社の総資産額は少ないほうがいい』(時事通信社)

 

この時、営業利益(本業で得られた利益)はマイナスになりました。この営業利益を売上高で割った数値である「営業利益率」は、会社を評価する経営指標の一つであり、当然、銀行員は融資にあたっての判断材料にします。

 

実は雇用調整助成金の勘定科目を変更することで、営業利益赤字からの脱却ができる場合があるのです。

 

そこで今度は、雇用調整助成金をあらかじめ人件費から差し引いた計算書にしてみましょう(図表5)。

 

出所:菊地宏著『会社の総資産額は少ないほうがいい』(時事通信社)
[図表5]③雇用調整助成金の勘定科目を変更する:After 出所:菊地宏著『会社の総資産額は少ないほうがいい』(時事通信社)

 

営業利益がプラスになると、銀行員からの評価アップにつながります。これはあまり知られていない情報だと思いますから、役立てていただければと思います。

 

 

菊地 宏

インフォニック株式会社 代表取締役社長

 

1964年、宮城県石巻市生まれ。同志社大学法学部卒後、現みずほ銀行に入行。大阪支店(外国為替部)を皮切りに、麹町支店等、15年半勤務。退社後、2005年インフォニック株式会社を創立、代表取締役に就任。現在グループ5社、計6拠点(京都、東京、大阪、福島、舞鶴、ミャンマー)でソフトウェア開発及びIT基盤構築業務を行っている。

 

※本連載は、菊地宏氏の著書『会社の総資産額は少ないほうがいい』(時事通信社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

会社の総資産額は少ないほうがいい 銀行から融資を受けたかったら、この数字を見直しなさい

会社の総資産額は少ないほうがいい 銀行から融資を受けたかったら、この数字を見直しなさい

菊地 宏

時事通信社

コロナショックを乗り切るために…。 元銀行員が教える、中小企業がお金を借りる極意。 銀行が会社を支援するかどうかの判断基準は、会社の経営者や役員が考えている判断基準とは大きく異なります。「よい会社」というとき…

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