(画像はイメージです/PIXTA)

妻を亡くした資産家のシニア男性が子どものいる女性との再婚を考えています。しかし、先妻の子どもたちは、結婚はともかく、万一父親が先に亡くなったとき、実家の財産が後妻の子どもへと承継されていくのではと思い、気が気ではありません。阻止する方法はあるのでしょうか? 高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が解説します。

結局、一番確実な方法は「再婚しない」になるのだが…

ただ、これだけやっても遺留分を消すことはできません。それに、美香さんが裏切れば遺言を書き換えることができます。また、太一さんが亡くなったことで養子縁組も解消されてしまうかもしれません。

 

そこで、鈴木家の財産を田中家に渡さないようにするには、美香さんに相続させないとするほかありません。

 

ただし、美香さんは配偶者であり、相続権もありますし、遺留分もあります。

 

したがって、美香さんに太一さんの財産を相続させないためには、美香さんが相続放棄をするか、太一さんが太郎さんと花子さんに全財産を相続させるという遺言を書いて、美香さんが遺留分を行使しない必要があります。

 

よって、「太一さんの財産を美香さんに相続させた場合、勉さんの権利を無くすことは難しいので、太一さんに、太一さんの財産はすべて、太郎さんと花子さんに相続させるという遺言を書いてもらう方法がある。ただし、美香さんが遺留分を行使しない必要がある」という選択肢⑤も正解となります。

 

以上、鈴木家(太一さん)の財産を田中家の勉さんにまったくいかせないようにするのは、美香さんが裏切らないなど不確定要素が多くあるため、完全な方法はありません。

 

そこで、太一さんの財産を勉さんに相続させないためには、結局は、太一さんと美香さんが結婚しないということとなります。

 

したがって、「太一さんの財産を勉さんに相続させないためには、太一さんと美香さんが籍を入れず、内縁状態とすればよい」という選択肢⑥も正解となります。

 

鈴木家の財産を守るという意味では、⑥が一番正しいのでしょうが、それでは、太一さんと美香さんの思いは実現できないこととなります。

 

太一さんと美香さんがいろいろな方法のメリットデメリットを考えて、どうするかを決めるということとなります。親の再婚に子どもが口を出すのは、こんなことが原因なのです。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

高島 秀行
高島総合法律事務所
代表弁護士

 

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