(※写真はイメージです/PIXTA)

相続には十人十色の事情があり、場合によっては家族や親族同士の関係を壊してしまうこともあります。そうした事態を避けるためにはどうすればよいのでしょうか。相続に必要な知識や相続を円満に進めるコツについて、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届けします。

 

祭祀承継者は「生前」に変更出来るのか

祭祀承継者は、一度その地位に就くと、亡くなるまで承継者の地位を保ち続けることになります。しかし、生前に祭祀承継者を変更することもできます。

 

方法としては、主に2通りあります。ひとつは、当事者間の合意、もうひとつは、家庭裁判所に祭祀承継者指定の申し立てを行う方法です。では、それぞれどのような手続きが必要となってくるのでしょうか。

意外と簡単「祭祀承継者の変更手続き」の仕組みや費用

当事者間の合意はイメージしやすいと思いますが、祭祀承継者の体調の変化や、その他の様々な事情により、他の人に引き継ぐ必要がある場合などに、引き継ぐことが可能な人と当事者間で合意するということです。家族や親族が集まったうえで話し合いを行い、当事者間の合意をするということも、良い方法のひとつではないでしょうか。

 

また、家庭裁判所への申し立ては、承継者本人からでも、それ以外の人からでも構いませんが、必ず変更が認められるということではなく、承継者本人がその地位を保ち続けることが難しいなどの特別な事情や、承継者が祭祀財産の管理などについて、特段の事情もなく、その責任を放任してしまっているなどの、特別な事情が必要になってきます。

 

仮に、家庭裁判所への申し立てとなった場合、司法書士や弁護士などといった専門家に依頼することが想定されます。その場合に発生する専門家への報酬、申し立てにかかる実費などを含め、その状況に応じて、数万円~数十万円の費用が発生することが考えられます。

 

また、当事者間の合意などでも、場合によっては、祭祀承継者の地位を引き受けてくれる人に対して、数千円~数万円程度のお礼を渡すということも考えられます。あくまでも、これは引き継いでくれる人へのお礼であり、気持ちの表れである面が強いため、引き継ぐ人から求めることが、あまりないようにしていくことが望まれます。

 

また、やむを得ず祭祀財産の管理などの費用が、新たな承継者にとって著しく負担になってしまうような場合、もともとの承継者が、その費用の一部を負担することもあるかも知れません。

 

その場合は、たとえそれが兄弟間や親族間などであったとしても、必要に応じ、金銭貸借にかかる契約書やその記録を残しておくことが、後のトラブルを回避するひとつの方法としても考えられます。また、費用の負担が金銭の贈与などにあたる場合、金額によっては贈与税も発生してしまう場合もあります。

 

祭祀財産は、通常の相続財産と違い、後回しにされたり、注意が向かない傾向にあると考えられます。しかし、相続が発生した場合、誰かが引き継がなければならないものでもあります。

 

もしそれが原因でトラブルになってしまった場合、亡くなった人も、残された家族や親族もそれを望んでいることは当然なく、そのような状況は避けたいものでもあります。

 

だからこそ、祭祀財産についても、他の相続財産と同じように、何があり、どのようなことが必要なのかを知る「財産の棚卸し」を行い、その上で、できるうちから家族や親族と話し合いをしていくことがとても重要なのです。

 

そして、財産の分け方、行き先などをエンディングノートや遺言書などの作成を通して、書面として形に残していくこともとても重要なことなのです。

 

しかし、どのように話をしていき、どのような手順で書面のような形として残していけば良いのか、なかなかイメージが浮かばないという方も多いと思います。そのような場合、まずは行政書士や司法書士、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。きっと力になってくれるはずです。

 

梅園 浄

現役僧侶兼行政書士兼終活カウンセラー

 

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    ※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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