大手書店、教科書の販売数「前年比5.1倍」達成の理由【DX成功事例】

大手書店、教科書の販売数「前年比5.1倍」達成の理由【DX成功事例】
(写真はイメージです/PIXTA)

DX推進に失敗する企業には、大きくわけて3つの特徴があります。特徴を押さえることが、DX推進を成功に導く手がかりとなるそうです。本記事では、教科書の販売数「前年比5.1倍」を達成した大手書店のDX推進事例を中心にみていきます。

 

学校向け教科書販売ビジネスのDX成功事例

段階的にDXを実現していった、​大手書店A社の「販売スタイルの転換プロジェクト」

 

プロジェクトのきっかけは?

春の学校向け教科書の販売は、A社のなかでも大きな売上を占める一大イベントのひとつです。

 

従来から学校の敷地内に特設会場を設置し、学生が長い列を作って現金で教科書を購入する販売スタイルが主流でしたが、近年は「特設会場の確保が難しい(学校様)」、「教科書を買うのに並んで待たされるのは時間の無駄(学生様)」など、お客様ニーズの変化と、「現金の授受を伴う販売業務は負担が大きく、たくさんの案件に対応できない(社内営業担当)」といった社内課題も健在化してきたことから、販売スタイルの転換プロジェクトが発足しました。

 

具体的にどんな販売スタイルへの転換を検討したのか

まずはキャッシュレス化です。販売業務で一番時間がかかり、また神経を使うのが現金の授受です。お客様にスマートフォンのサイトから必要な教科書を選択していただき、代金をクレジットカードやコンビニ払い等で事前決済を済ませたうえで来場いただくことで、お客様の待ち時間解消と、社内の業務負担軽減を同時に実現できます。

 

次に現地受渡から配送への切り替えです。販売会場の確保が年々難しくなるなか、配送型へ転換することで、キャンパスの規模や学事スケジュールなどに関係なく、教科書販売機会のご提供が可能になります。

 

プロジェクト推進の難しさはどんなところか?

教科書販売の業務の流れは学校の特性に合わせて千差万別で、その運営・管理は担当する個々の営業や売店スタッフに委ねられています。唯一の共通点は管理ツールにExcelを使っていることですが、学校ごと担当ごとに個別最適化された数百種類のExcelシートが存在し、それぞれに思い入れがあり、慣れ親しんだシートを使って業務を行っています。

 

今回のプロジェクトの最大の課題は、この似て非なるExcelシートに集約された業務の集合体をどうやって共通のシステムの枠組みに押し込み、キャッシュレスや現地受渡から配送といった販売スタイル転換を全体として進めていくかになります(図表1)。

 

[図表1]販売スタイルの転換に立ちはだかる課題

 

次ページ「販売スタイルの転換」に立ちはだかる課題へのアプローチ方法

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