(※写真はイメージです/PIXTA)

一部の富裕層を除いた多くの人にとって「最初に買った家=終の棲家」でしょう。そこで避けられないのが「リフォーム問題」です。そして、リフォームを前提に自宅、なかでもマンションを選ぶ場合、「14階建て以下の物件」がおすすめだと、マンショントレンド評論家の日下部理絵氏はいいます。なぜ15階建て以上の物件ではダメなのか、みていきましょう。

「たった5cm」の差が住み心地に大きく影響

まず14階建ての階高はおおむね3m以上に対し、15階建ては3m以下となり、当然ながら天井高も低めとなる。

 

たとえばリビングダイニングの天井高でいえば、14階建てが2.5mだとすると、15階建ては2.45m。玄関扉の開口部の高さであれば、14階建てが2.0~2.05mだと、15階建ては1.9~1.95mになる。

 

開口部の高さは、身長プラス30cmが理想といわれるので、日本人男性の平均身長を170cmとすると2mになるが、15階建てではその高さを満たさないため圧迫感を感じることになる。

 

さらに、階高が低いと、理想的とされる「二重天井・二重床」ではなく「二重天井・直床」や「直天井・直床」になることが多い。

 

二重天井・二重床の場合、床と床の間にできる空間に給水・給湯管、給排気ダクトや、電気配線などを設置できる。特に水回り、給排水の配管設備は、水は上から下に流れるので、パイプに傾斜をつけるため十分なスペースが必要だ。

 

この二重床の空間に配管などを収納できるということは、段差のないバリアフリー対応にもできる。さらに空間があるぶん階下への遮音効果が高いといわれる。

 

一方、直床とは、床と躯体の間に空間がなく、直にコンクリート層になっている構造をいう。

 

直床は、給排水管の設備を設置する場所(空間)がないので、床下に空間を作るため段差をつけて、その空いたスペースに配管設備を設置する。つまり、水回り付近の床が高い段差になり、生活空間を押し上げることになる。

 

また十分なスペースがある二重天井・二重床は、それぞれの設備の移動が可能で、リフォームなどで大幅に間取りを変えたい時にも対応できる。

 

しかし直床の場合、特に水回り部分はほぼ固定して造られているため、間取り変更は難しい可能性がある。つまり15階建ては、設備の配置によっては、設備の交換など将来のリフォームが難しい可能性がある。

 

しかし直床にもいいところがある。それは二重床に比べて安価で、施行する上で必要となる縦幅が短い分、部屋の天井を高くとれるため、階高が低いマンションで多く採用されている。

 

1棟の販売戸数が増え、1戸当たりの建築原価を抑えられれば、分譲価格も安くでき安く購入できる可能性がある。特に地価が高いエリアでは歓迎される傾向もある。また戸数が増えることで、毎月の管理費等の維持管理のコスト負担を抑えることもできる。

 

 

日下部 理絵

マンショントレンド評論家

オフィス・日下部 代表

 

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    ※本連載は日下部理絵氏の著書『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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