都心では「車離れ」が進み、駐車場に空きが目立っているケースが少なくありません。マンションの管理費等は、駐車場利用料が入ることを前提に組まれていることが多く、利用率が下がると財政を圧迫し、赤字会計となってしまいます。マンショントレンド評論家として数々のメディアで発信を行う日下部理絵氏が、マンション管理組合が特に頭を悩ませている「機械式駐車場」の問題について、事例をもとに解説します。
陣内さんの住むマンション管理組合は「破綻寸前」
より頭を悩ませるのが、空き駐車場とマンション管理組合の財政との関係だ。駐車場使用料は、新築時から管理組合の管理費会計の収入になっており、駐車場の利用率が低下すると、収支にも影響を与える。
管理費会計は一見黒字に見えるが、単年度で見るとすでに余剰金を食い潰しておりマイナス会計、このままいくと数年先には赤字に転落するという。
駐車場問題が管理費や修繕積立金の値上げにも影響するかもしれず頭が痛い。しかも、長期滞納者問題に加え、マンション全体の3回目の大規模修繕も数年先には検討しなければならない。
さらに近年、マンション全体で契約しているインターネット回線についても苦情が多いという。一見平穏に感じた自宅マンションは問題が山積みなのを知る。
まさか、自分のマンションの管理組合会計が破綻しそうになっているなんて、予想もしていなかった隆さんはショックを受けた。
次回の理事会からより具体的な話し合いがはじまるという。気安く理事長なんて引き受けるべきじゃなかったとがっくりしてしまった。
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マンショントレンド評論家/住宅ジャーナリスト/オフィス・日下部
オフィス・日下部 代表
第1回マンション管理士・管理業務主任者試験に合格。
管理会社勤務を経て、「オフィス・ 日下部」を設立。管理組合の相談や顧問業務、数多くの調査から既存マンションの実態に精通する。また穴場の街ランキングや新築マンション情報などのマンショントレンドでも見識が深い。さらにマンション管理員を中心とした10,000人以上のシニアを再就職へ導くなど、高齢者の住まいと働き方にも豊富な知識を持つ。
ヤフーニュースへの住宅記事掲載は300回以上。テレビ・ラジオなどのメディア、講演会・セミナーでも活躍中。最近ではテレビ朝日系列、松本潤主演ドラマ「となりのチカラ」のマンション分野の監修を務める。
著書に『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)、『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)、『「負動産」マンションを「富動産」に変えるプロ技』(小学館)、『すみません、2DKってなんですか?』(サンマーク出版)ほか多数。
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