(※写真はイメージです/PIXTA)

自宅をリフォームする際、老後のことを考えてバリアフリーの設備を整えたいと考えている人も多いのではないでしょうか。早めにリフォームをする場合であれば実費で行ったほうがお得な場合もありますが、要介護認定の家族がいる場合、給付金が受けられる場合があります。マンショントレンド評論家として数々のメディアで発信を行う日下部理絵氏が、リフォーム時に活用したい給付金や控除の制度について解説します。

リフォーム時に活用したい「控除」

それでは糸井さん宅は何も支援を受けられなかったのかというとそうではない。自宅マンションをリフォームした場合、工事内容や諸条件を満たせばリフォーム費用は減税対象となり、所得税控除を受けられる可能性があるのだ。

 

リフォームのため5年以上のローンを利用していれば「住宅ローン減税」「ローン型減税」、ローンを利用しない場合や5年未満のローンなら「投資型減税」が対象。

 

対象となる不動産はそれぞれ「延床面積50m2以上」「自らが居住する」「耐震性能を有する」など一定の条件がある。

 

糸井さんは、投資型減税を利用した。それはまもなく定年でいまのところ再就職を予定していないからだ。投資型減税だと控除期間が1年になる。なお、65歳以上だったら固定資産税の減税も使える。

 

また、所得税以外にも、リフォームを行うことで申請できる減税措置がある。

 

たとえば固定資産税は、次のリフォームを対象とし、工事完了後3ヵ月以内に対象不動産がある市区町村に届け出ると、固定資産税が減額される可能性がある。

 

耐震リフォーム:リフォームを行った翌年、家屋にかかる固定資産税の2分の1が減額となる(床面積120m2相当分まで)。「バリアフリーリフォーム」「省エネリフォーム」との併用はできない。

 

バリアフリーリフォーム省エネリフォーム:リフォームを行った翌年、家屋にかかる固定資産税の3分の1が減額となる(バリアフリーリフォームは1戸当たり床面積の100m2相当分、省エネリフォームは1戸当たり床面積の120m2相当分まで)。耐震リフォームとの併用はできない。

 

また、リフォームすることによって、「長期優良住宅」の認定を受けると、リフォームを行った翌年、家屋にかかる固定資産税の3分の2が減額(耐震・バリアフリー・省エネいずれのリフォームとの併用はできない)される。

 

このように、住宅をリフォームする場合、補助金や助成金のほか、すべてのリフォームが減税対象ではないが、所得税などの税金が控除される可能性があることを覚えておいて欲しい。

 

税制は年度によって変わるので、リフォームをする際には、必ず税務署や税理士などに相談し、該当する場合は、忘れずに活用したいものだ。

 

 

日下部 理絵

マンショントレンド評論家

オフィス・日下部 代表

 

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※本連載は日下部理絵氏の著書『60歳からのマンション学』(講談社+α新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。

60歳からのマンション学

60歳からのマンション学

日下部 理絵

講談社

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