現場の努力で対処してくれ…「業務改善」に消極的な経営者を変えた、社員からの“納得のプレゼン”とは?【DX推進事例】

現場の努力で対処してくれ…「業務改善」に消極的な経営者を変えた、社員からの“納得のプレゼン”とは?【DX推進事例】
(※写真はイメージです/PIXTA)

DXを「実施していて成果も出ている」日本企業は、わずか13.5%、ほとんどのDXプロジェクトが期待どおりになっていません。では、実際にDXを成功させた企業はどのようにプロジェクトを推進したのでしょうか? 今回は、業務改善に消極的な経営者を変えた、DX推進担当者のプレゼン内容について、DXコンサルタントである株式会社日淺の日淺光博代表が評価・解説します。

 

課題4:プレゼン資料でどう役員から賛同を得るか

経営者はDXを、どうとらえているのでしょうか。彼らは「DXに興味があるからDXのことを知りたい」のではなく「DXをすることで我が社にどんな効果、影響があるか」を知りたいのです。これまで数多くの役員会資料の作成をサポートしてきましたが、提案を通すために気をつけるべき点は、具体的な数字に落とし込むことと、中期的なビジョンに沿っていることです。

 

具体的な数字といっても「生産性が上がることで期待される効果はOO億~OO億円」など幅があって構いません。期待される効果を具体的な数字に落とし込むだけで、経営者も費用対効果をイメージしやすくなります。

 

なぜ中期的なビジョンを重視するかというと、経営幹部は中期計画を策定する際にもかなりの時間と労力を割いているからです。外部のコンサルタントを活用したり、社内の人員を動員したりしながらの努力にDXがどう寄与するかという視点が欠けていたら、たとえDXに興味があったとしても話を聞いてもらえないでしょう。DXという言葉をフックにしつつ、 具体的な数字と中期的なビジョンを盛り込んだプレゼンの実施をおすすめします。

 

課題5:1ヵ月後のプレゼンでのゴール設定はどこか

1ヵ月後のプレゼンのゴールはどう設定すべきでしょうか。今回の提案は会社全体の利益になり、現場の働きやすさが向上します。そのためにシステム刷新の承認を得たいわけです。

 

結論からいうと、ここでのゴール設定は「経営者もしくは担当役員の直下でプロジェクトを立ち上げること」。システム刷新にかかる費用は少なくとも数千万円で、 より大規模なプロジェクトなら数億円にも上ります。いくら必要とはいえ、これだけの予算がすぐ承認されることはありません。特にDXプロジェクトの場合、システム刷新だけではなく業務プロセスそのものを変えていく必要もあります。社内での理解を得て、少しずつ進めていくべきなのです。

 

このプレゼンをサポートしたときは、最初の役員会で大多数の役員から理解を得られなかったものの、興味を持ってくれた役員の下でプロジェクトを組めました。その後社内を巻き込んでのシステム刷新へと順調に動き出せました。

 

社内を巻き込んだDXプロジェクトの提案でも、相手の視点で具体的な成果があることを伝えきることで経営幹部が動いてくれることもあります。きっかけは現場の提案でも、経営者、経営幹部の直下で行うという落としどころを探ることはDX推進者としての成果にも繋がります。

 

 

日淺 光博
DXコンサルタント
株式会社日淺 代表取締役社長

 

 

難しい話はもういいんで DXがうまくいく方法だけ教えてください

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日淺 光博

サンマーク出版

DXを「実施していて成果も出ている」日本企業は、わずか13.5%。つまり、ほとんどのDXプロジェクトが期待通りになっていないということです。 その原因の多くは、じつは社内のすべての人にDXを推進することで得られるインセン…

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