現場の努力で対処してくれ…「業務改善」に消極的な経営者を変えた、社員からの“納得のプレゼン”とは?【DX推進事例】

現場の努力で対処してくれ…「業務改善」に消極的な経営者を変えた、社員からの“納得のプレゼン”とは?【DX推進事例】
(※写真はイメージです/PIXTA)

DXを「実施していて成果も出ている」日本企業は、わずか13.5%、ほとんどのDXプロジェクトが期待どおりになっていません。では、実際にDXを成功させた企業はどのようにプロジェクトを推進したのでしょうか? 今回は、業務改善に消極的な経営者を変えた、DX推進担当者のプレゼン内容について、DXコンサルタントである株式会社日淺の日淺光博代表が評価・解説します。

 

課題2:経営陣から理解を得るのが難しい

経営陣としては「業績が伸びているなか無駄な投資は必要ない」「確実にうまくいく保証があれば検討する」といった心境なのは当然です。特にITにくわしくない経営者なら、なおさらでしょう。このような経営陣に真正面からシステムの話をしてもあまり効果は期待できません。経営陣の関心は「いかに経営に寄与するか」。今回の場合、先に紹介した「長期的な成果」がそれにあたります。

 

ただ、ここもサラリーマン社長とオーナー社長とで違いが出やすい点です。

 

まずサラリーマン社長の就任期間は平均すると5年ほどです。この期間内にどんな成果を挙げられるかを最初に考えましょう。さらに社長といえど合議制で動いているので、中期計画などがあれば、それに沿った提案が求められます。

 

オーナー社長の場合、会社の規模によっては合議制を敷いていますが、基本的には鶴の一声で決まりがちです。十年以上会社を経営している場合がほとんどなので、社長の意向を踏まえることが大切。

 

上場企業なら株価や企業イメージを説くべきですし、上場を目指す段階なら上場するメリットを説く必要があります。1年や2年で成果を挙げることへのコミットが必要でしょう。

 

課題3:IT部門があまり協力的でない

システムの刷新だからIT部門だろうと思いがちですが、彼らのおもな仕事は「現在のシステムの運用管理と改善」です。このケースのようなシステム刷新は、会社全体の意思決定でもないかぎり協力的ではないと思ったほうがいいでしょう。

 

日本企業のIT部門には、管理は得意でも企画は苦手とする人が多い傾向にあるからです。こうなりがちな背景にはシステム開発部門を持っている企業が少ないという事情もあります。IT企業でないかぎり社内でシステム開発を完結できないのです。

 

IT部門に「具体的になれば相談に乗るから」といわれたのは、企画立案の段階から一歩進んだ「既存のシステムと合わせてどのようなものを構築するのか考える段階で相談してください」という意味なのです。

 

この段階になれば、会社のセキュリティ基準や開発ルールなどを共有でき「運用管理と改善」をメイン業務とするIT部門も力を発揮します。私の経験上、保守的な業務に特化したIT部門ほど保守的な対応を選ぶ傾向が強いようです。それが悪いことというわけではありません。ただ、システム刷新などの大きな取り組みをする際は「考えるうえで気をつけるべきことは」「IT部門で考えるシステム計画は」など事前の情報収集をしたほうがいいということです。

 

ヒアリングには根回しの効果もあるため、のちのち「聞いていなかった」「急にいわれても困る」などの無用な衝突を避けられます。企画立案の段階からIT部門とつき合っておくのが賢明でしょう。

 

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難しい話はもういいんで DXがうまくいく方法だけ教えてください

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日淺 光博

サンマーク出版

DXを「実施していて成果も出ている」日本企業は、わずか13.5%。つまり、ほとんどのDXプロジェクトが期待通りになっていないということです。 その原因の多くは、じつは社内のすべての人にDXを推進することで得られるインセン…

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