(※写真はイメージです/PIXTA)

「眼瞼下垂」は、その名の通りまぶたが下がってきて目が見にくくなる病態のことである。発症頻度が高い疾患のため、悩まれている方も多いだろう。「美容医療国際職人集団」と言われるJSAS会員であり、高須克弥医師の孫弟子にもあたる医療法人美来会理事長、九野広夫医師。九野氏は、美容医療の他院修正専門医院を立ち上げ、これまで数多くの不幸な医療事故や医療過誤を目にしてきた。本稿では九野氏に、「若年性眼瞼下垂」について解説いただく。

 

若年性眼瞼下垂や美容整形手術の失敗で、最も気をつけなければならないリスクは「自死」

一見飛躍している様に思われますが、決して関連が無いわけではありません。実際に美容整形で失敗されて自殺や未遂をした方の実話を、20年に亘る診療の現場で数多く訊いています。

 

数年前にも当院の常連顧客の方に伺いましたが、その方の友人(20代前半・女性)が渡韓してまで受けた瞼の整形で失敗されたことに気付き、連絡を取り合っていたものの数日後にホテルの屋上から飛び降り自殺したとのことでした。

 

本コラム欄をご覧の皆様の御子息にも、両親に相談できず深刻に悩んでいる人たちがいらっしゃるかもしれません。

 

本邦でも成人の定義が変わり18歳以上で手術の契約ができてしまう昨今、美容医療の広告宣伝に踊らされてしまい理想と現実のギャップに悩み、対人関係が壊され、自分を必要以上に責め、負のバタフライ効果として結果的にうつ病や自殺に追い込まれてしまう日本人青年が大勢存在しています。

 

増してコロナ禍ではマスク着用社会になり、目元の印象比重が我々の世代とは全く異なる世界になっています。そんな時にこそ、「瞼の傷跡や二重形成の失敗は治せる技術がある」と彼らに知ってもらうだけでも、どれだけ心の拠り所や安心につながることでしょう。

 

特に「美容整形反対派」がまだまだ主流の日本においては、身内やパートナーでも(裁判所や眼科医院でさえも)親身に、的確に相談に乗ってくれるヒトがなかなか見つかりません。嫁入り前の娘さん(最近は男性でも中性的な青年も)は多感です。いざという時に御子息を助けることができるか、コミュニケーションの糸口になれるかが、大変重要なカギになります。

 

500万年以上先代から連綿と受け継がれてきた人類の系譜を、こんな理由で断ってしまうことに繋がるなんて、失ってみるまでは誰しも想像すらしていないのです。

 

自室に閉じこもって鏡ばかり見続けるか、容姿の悩みを深刻に考え出す姿に接したら、それは家族にとって分岐点といってもいいくらいの見逃してはならない重大なサインなのです。

若い年代を担当される諸先生へ

医局で技術を研鑽され、オーベンに師事し、学会や論文・正書にも記載されている(勿論同意書も得ている)術式によって生じた不測の合併症に対して「一体何が悪いのか」と思う正統論的価値観も、自験例でそこまでの重篤な合併症が(偶々)無かった自負も、全て判った上で敢えて私は申し上げます。

 

その矜恃はたった1例の反証で覆ります。

 

医師免許証は映画007でジェームズボンドに与えられた架空の「殺しのライセンス」でもなければ、インフォームドコンセントの書面一枚が患者さまを生涯に亘って苦しめていいという免罪符でもありません。

 

九野 広夫

医療法人美来会 理事長

 

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