◆セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制は医療費控除の一種で、厚生労働省が指定する一定の条件をみたす市販の医薬品について、年間の購入金額が12,000円を超えた場合に、その超過額の所得控除が認められるものです。
セルフメディケーション税制の対象となるかどうかは、その医薬品のパッケージに記載されている共通のロゴ、または購入時のレシートの印を見ればわかります。湿布や栄養ドリンク等でも、対象となるものがあります。
なお、セルフメディケーション税制を利用する場合には、通常の医療費控除は利用できません。
◆生命保険料控除
生命保険料控除は、生命保険や医療系の保険等の保険料を支払ったら、その一部について所得控除を受けられるものです。以下の3種類があります。
・一般生命保険料控除:生命保険(死亡保険)一般が対象
・介護医療保険料控除:医療保険、がん保険、働けなくなったときの保険等が対象
・個人年金保険料控除:個人年金保険が対象
保険会社から送られてくる「控除証明書」を「保険料控除申告書」に添付すればよいのですが、ありがちなのが以下のようなケースです。
・生命保険についている入院・手術等の特約について申告を忘れるケース
・控除証明書を紛失してしまい、めんどうになって申告しないケース
まず、生命保険に入院・手術の特約が付いている場合、その特約が生命保険の主契約とは別に「介護医療保険料控除」の対象となります。忘れずに申告してください。
次に、控除証明書を紛失してしまったケースについては、保険会社にその旨を伝えれば再発行してくれますので、めんどうくさがらずにぜひ再発行を受けてください。
◆地震保険料控除
地震保険料控除は、その年度中に地震保険の保険料を支払ったら、保険料の全額または一部について所得控除を受けられるものです。
地震保険は単体では加入できず、火災保険に「地震危険補償特約」を付けるという形でしか加入できません。したがって、火災保険に新規加入または更新した場合、地震保険に入っていることを自覚せず申告漏れになってしまうケースがあります。
思い当たる場合は、火災保険の契約内容を確認してみることをおすすめします。
◆ひとり親控除・寡婦控除
ひとり親控除とは、「ひとり親」が35万円の所得控除を受けられる制度です。「ひとり親」でありさえすれば、婚姻歴の有無にかかわらず受けられるので、特に、婚姻歴のないシングルマザー・シングルファザーは、忘れずに申告してください。
少し前までは「寡婦控除」「寡夫控除」として、婚姻歴のあるシングルマザー・シングルファザーしか控除を受けられませんでした。しかし、それではおかしいということで、2020年から「ひとり親控除」に統合され、婚姻歴の有無は関係なくなりました。
なお、「寡婦控除」は、婚姻歴のある女性が子ども以外の親族を扶養するケースを想定した制度として存続することになりました。
「ひとり親控除」は、以下の要件をみたせば35万円を受け取ることができます。
・婚姻をしていない、あるいは配偶者の生死が不明
・生計を同じくする子がいる
・子の所得の合計額が48万円以下
・自身の合計所得金額が500万円以下
・事実婚状態にない
過去の申告漏れも5年前まで遡って還付を受けられる
ここまでご覧になって、過去の申告漏れに気付いた方がいらっしゃるかもしれません。その場合でも、「更正の請求書」作成して税務署に提出すれば、過去5年前まで遡って還付を受けることができます。
「更正の請求書」は、国税庁HPで簡単に作成できます。ただし、証明のための資料は必要です。紛失してしまった場合には再発行を受けるなどして揃えることになります。
あとは、e-Tax(国税電子申告・納税システム)で電子申告するか、プリントアウトして税務署に郵送するだけです。
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