(※画像はイメージです/PIXTA)

2022年11月11日、アメリカの仮想通貨(暗号資産)交換所大手のFTXトレーディング社が経営破綻しました。顧客資産を流用した疑いがもたれています。他方で、日本法人のFTX Japanは、破産はしたものの、顧客からの預かり資産については無事との発表がなされています。本記事では、わが国における暗号資産に関する法規制の内容と、今回の件で鮮明になった暗号資産特有のリスクについて解説します。

法規制があってもなお警戒すべき「暗号資産特有のリスク」とは

このように、暗号資産については、資産決済法と金融商品取引法による厳重な法規制が行われています。しかし、取引自体によって損をするリスクとは別に、法規制だけではカバーしきれない特有のリスクがあります。たとえば、以下のようなものです。

 

・事業者が破綻した場合に最低保証がないリスク

・業者が顧客財産の分別管理に関する法令違反を犯すリスク

・盗難、サイバー攻撃等による暗号資産の紛失のリスク

 

◆事業者が破綻した場合に最低保証がないリスク

暗号資産には、銀行預金と異なり、事業者が破綻した場合に一定限度まで保護されるという制度がありません。

 

銀行預金の場合、銀行が破綻しても当座預金等は全額保護され、一般の普通預金等は1,000万円まで保証してもらえますが、暗号資産の場合はこのような制度がなく、最悪の場合、投資した財産のすべてを失う可能性があります。

 

◆業者が顧客財産の分別管理に関する法令違反を犯すリスク

先述の通り、わが国においては、顧客財産を事業者の自己資産と厳格に分別して管理しなければならないという法規制があります。

 

今回、FTX Japan社が法令を遵守していたとのことであり、同社の顧客の資産は無事である可能性が高いのですが、アメリカ本国のFTXトレーディング社は顧客の資産を流用していた疑いがもたれています。

 

いかに厳格な法令も、事業者がその法令を破ってしまえば、顧客を救済する方法は経営者個人の財産にかかっていくくらいしかありません。

 

◆盗難、サイバー攻撃等による暗号資産の紛失のリスク

暗号資産は、現物の通貨と異なり、その性質上、電子的方法により記録される「財産的価値」にすぎず、実体のないものです。

 

したがって、「盗難」やサイバー攻撃等により、失われてしまうリスクがあります。

 

先述した通り、顧客の暗号資産はコールドウォレット(インターネットと完全に切り離されもっとも高いセキュリティレベルで保管されるウォレット)で管理されますが、それでも、「盗難」やサイバー攻撃等のリスクはゼロとは断言できません。

 

以上のリスクはあくまでも主要なものであり、他にも、暗号資産の「電子的方法により記録される」という特性からくる様々なリスクが考えられます。

 

仮想通貨の取引については、騰落が激しいということ以外にも、その特殊な性質につきまとうリスクへの警戒が必要です。なかには、投資家の自助努力でどうにもならないものも含まれます。法規制はあくまでも最低限のセーフティネットにすぎません。本記事で指摘したリスクについて十分に認識したうえで取引を行う必要があります。

 

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