写真提供:GEN INOUE

知られざる「日本の住宅とその性能」について焦点をあてる本連載。今回は「今の家は、冬寒く、夏暑く、結露にも困っているけど、建て直すことは難しい」というよくある悩みに対し、専門家による最適解をみていきます。

電気代の高騰が家計費を直撃している⁉

電気代やガス代がものすごい勢いで値上がりしていることは、ほとんどの方が実感していることと思います。それらの負担を気にして、必要な冷暖房を我慢することは、健康や生活の質の面から考えると、もちろん望ましいことではありません。

 

ちなみに、東京電力の公表資料に基づいて、電気代の推移を調べてみたところ、直近6年間では、年平均6.8%ずつも値上がりが続いています。そしてここ2年間ではさらに、なんと14.7%ずつも値上がりが続いています。この値上がり傾向は今後も続くと予想されていますから、冷暖房を効率的に行えるように家の性能を高めることの必要性が増しています(図表4)

 

 

 

冷暖房の熱エネルギーは、窓からのロスが非常に大きいので、まずは窓の断熱性能を高めることが効果的です。国は、2050 年カーボンニュートラルの実現に向けて、住宅の省エネ化の支援を強化するために、令和4年度の補正予算で、高断熱窓等の設置等の住宅の省エネリフォームにかなり手厚い補助制度を盛り込んでいます。それとは別に窓の断熱リノベの独自補助を行っている自治体も少なくないので、リフォーム会社に相談してみると、意外に軽い費用負担で、快適で省エネな住宅を手に入れることができるかもしれません。

窓の断熱リノベは意外に簡単⁉

既存の窓を高断熱の窓に交換するのは、以前は一度壁を取り壊して窓を取り除き、再度窓を取り付けるというかなり大がかりのものでした。ところが最近は比較的簡単にできる工法が開発されています。費用も手頃ですし、とても短工期でできるので生活への影響も少なくて済みます。

 

具体的には、2つの方法が一般的です。1つは【図表5】左側の「カバー工法」と言われるもので、既存の窓枠を残し、その内側に新しいサッシをかぶせる(カバーする)ことで窓全体をリフォームするものです。既存の窓枠に新しいサッシ枠をかぶせるようにとりつけるので、壁を壊す必要はなく、高性能な窓に交換ができます。ただし、既存のサッシ枠の内側に新しい窓を入れるので、窓のサイズが少し小さくなってしまうことが欠点です。

 

もう1つ、もっとお勧めなのが、【図表5】右側のインナーサッシ、つまり内窓をつける方法です。既存の窓の内側に一般的にはスペースがあると思います。そこに新たにもう1つの窓を設置して、二重窓にする方法です。こちらの方がより安く、手軽に行えます。内窓にはもちろん高性能な樹脂のペアガラス等のサッシが選べますし、既存の窓も残りますから、より断熱性能は高くなります。ただし、窓が二重になるために、頻繁に開け閉めする窓では、窓を2枚開けなければならないのが欠点です。

 

【図表5】
【図表5】

 

頻繁に開け閉めしない窓は、費用を考えてインナーサッシにして、頻繁に開け閉めが必要で2枚の窓の開け閉めが億劫な箇所だけカバー工法を選ぶことをお勧めします。なお一つの部屋で、一部の窓だけを改修することは、あまりお勧めしません。改修しない窓の結露がひどくなる可能性があるためです。できればすべての窓の改修をお勧めしたいところですが、予算が限られているのならば、LDKと浴室・脱衣室・トイレ、寝室に限定しても、効果はかなり体感できると思います。

 

注目のセミナー情報

【国内不動産】4月25日(木)開催
【税理士が徹底解説】
駅から遠い土地で悩むオーナー必見!
安定の賃貸経営&節税を実現
「ガレージハウス」で進める相続税対策

 

【資産運用】5月8日(水)開催
米国株式投資に新たな選択肢
知られざる有望企業の発掘機会が多数存在
「USマイクロキャップ株式ファンド」の魅力

次ページマンションの窓の断熱リノベはコスパ最強⁉

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録