継ぐ会社の生産性はどうですか?
生産性は社長が注視すべき最重要指標のひとつです。生産性が低ければ社員の給与を上げることもできませんし、社員にムダな労働を強いることにもなります。
30.「採算が合わない顧客はいませんか?」
満足させるために必要な時間とエネルギーに見合わなくなった顧客はいませんか? そのような顧客を段階的に販売対象外することで、よりいい顧客を開拓するための時間とエネルギーを確保することができます。
31.「時間と労力の投資に対し、リターンが少ない活動はなんですか?」
ビジネスの再構築を定期的に行い、時間と労力の投資に対し、リターンが少ない、もしくはまったくない活動は、人材やリソースを収益を生み出す上位20%の活動に移動させる必要があります。少なくとも会社がそれほど大きくない段階においては、可能な限り高いリターンをもたらす活動のための時間をより多く確保することがビジネスの成長を左右します。
32.「テクノロジーをもっと活用すべき分野はどこですか?」
ビジネスをより効率的にするための新技術や、市場を拡大するための技術を継続的に探索していますか? この分野において頼れる社員やアドバイザーはいますか?
33.「アウトソーシングできる業務はなんですか?」
アウトソーシングは、効率を高めるためだけに行うものではありません。自社では業務の品質が安定しない場合、外部の専門会社に依頼し、契約に基づいて品質を安定させてもらうことも有効な方法です。
継ぐ会社のレリジエンスはありますか?
会社を継ぐ社長にとっての心配事は、将来のリスクに対処できるかどうかでしょう。創業社長は創業当時から常にリスクや逆境に晒されており、いまでいう「レジリエンス」が高い人たちです。一方、会社を継いだ社長はそのようなリスクや逆境に晒された経験が少ないと思います。そこで、起こり得るリスクを予測し、万が一のときのためのシミュレーションをしていくことが大切です。
34.「組織としての弱点はなんですか?」
組織は事業モデルの実行力を生み出します。計画はあるけどやり切れない、非生産的な仕事に追われている、社員の離職が多いなどの現象が起こっている場合、組織に問題があります。
組織は共通の目的、協業、調整で成り立っています。組織が上手く行っていないとき、それらのどこかに問題があります。自社の組織の弱点を3つ挙げ、どのように解決するか検討しましょう。
35.「会社へのリスク、最悪の事態を3つ挙げるとしたらなんですか?」
事業は楽観的に構想し、悲観的に準備し、楽観的に行動することが大切です。現在考えられる、会社に打撃を与える可能性のあるリスクを検討しましょう。
36.「いま挙げたリスクの対応策はなんですか?」
具体的にどんなステップを取るか考えましょう。リスクに対応するために、自分として、会社として身に付けるべき能力やスキル、知識はなんですか?
37.「今後、最も大きなチャンスがある分野はなんですか?」
新市場や新技術、新しい人材等、常に新しいチャンスは生まれています。それらを3つ挙げてみましょう。
38.「いま挙げたチャンスを活用するために、なにができますか?」
具体的にどんなステップを取るか考えましょう。チャンスを活用するために、自分として、会社として身に付けるべき能力やスキル、知識はなんですか?
39.「もし売上が半分になった場合、削減すべきものはなんですか?」
売上が3ヵ月間ゼロになった場合はどうですか? 削減すべき人・活動・仕事の流れ・費用はどれでしょうか? 簡略化できるもの、外注できるもの、排除できるもの、完全に中止できるものを考えましょう。
40.「ゼロから再開できる商品、サービスはありますか?」
いままで築き上げたものがすべてゼロになったと想像してください。すぐに再開し、顧客を獲得できる商品、サービス、活動はなんですか? 逆に、どの商品、サービス、活動は必要ないですか?
"お勉強"するヒマがあるなら、事業に真摯に取り組む
以上、会社全体を俯瞰するための質問事項を挙げてみました。本田宗一郎氏の逸話でこんな話があります。とある講演会に呼ばれていった宗一郎氏。会場には多くの中小企業経営者が集まっていました。宗一郎氏は開口一番こういったそうです。
まさにこのとおりだと思います。冒頭でも申し上げましたが、社長が行うべきことはなによりも事業に真摯に取り組むことです。特に会社を継いだ当初は"お勉強"に時間を費やしているヒマなど無いはずなのです。会社をよくするために、ぜひ本記事でご紹介した項目を検討し、足りないところを強化してみてください。
清水 直樹
仕組み経営株式会社
代表取締役
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