
2020年代に日本の製造業は大きく変貌を遂げると予測されています。どのように変貌するのか? 競争を勝ち残るため、いま企業はどのような対策を打つべきなのか? みていきましょう。
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2020年代、日本の製造業で起きること
2020年代に多くの製造業がつくりかえられるのであれば、先手を打ってその方向へ漕ぎ出さないとゲームチェンジに引きずり込まれる。我々はこの事実を2010年代の金融業や小売業、メディア・エンターテインメント、広告などの産業で何度も目にした。建設機械や自動車産業でも類似の兆候が顕在化している。
先手を打つには、ゲームチェンジのメカニズムを実ビジネスのなかで理解しなければならない。「どこでもゼロ」の経済になると、どのような経済パワーが生まれるのだろうか? これを製造業の視点で語れば、第一に人智を超えた広範囲の「分業」による収穫逓増の経済パワーであり、第二に人智を遥かに超えた広範囲のつながりがつくりだす「ネットワーク効果」という強大な収穫逓増の経済パワーであり、そして第三に「機械学習(人工知能)」がつくりだすまったく新しい姿の経済パワーである。
第一と第二のいずれもすでに1990年代のフィジカル空間で現れていたが、2020年代には時間・距離・費用・限界費用が「どこでもゼロ」のサイバー空間で大規模に現れ、その広がりはフィジカルを遥かに超える。
たとえばモノづくり・モノ売りには、
1.エンジニアリングチェーン
2.マニュファクチャリングチェーン
3.サプライチェーン
4.サービスチェーン
など、つながりを必要とする領域がたくさんあったが(※6)、フィジカル空間でつながることは稀であった。
※6
1.エンジニアリングチェーン:商品企画・設計・製造の各部門の情報のつながり
2.マニュファクチャリングチェーン:生産技術、製造技術、生産ラインや、工場と工場の情報のつながり
3.サプライチェーン:サプライヤー、調達、生産計画、生産実行などの情報のつながり
4.サービスチェーン:受発注情報、生産情報、ロジスティクス情報、納期照会・回答情報、そしてトレーサビリティなどの情報のつながり
それでも日本企業は「すり合わせ」や「ワイガヤ」、あるいは「TPS(Toyota Production System)」、「JIT(Just In Time)」など、濃密につながる独自の仕組みを考え出し、ここから生まれるネットワーク効果を活用して世界に冠たるモノづくり大国になった。それでもこれらはいずれもヒトや組織経由のつながりであり局所的であったという意味で、オープン・アーキテクチャーになれば、その効用が限定的となる。
しかしながら2020年代には「どこでもゼロ」のサイバー空間を利用することによって、上記項目1から項目4の広範囲のつながりが可能になる。これらがつながることで強大なネットワーク効果が表れ、2020年代の製造業をつくりかえるのである。すでにその兆候が中国の製造業はもとよりドイツが先導するIndustrie4.0の環境ではっきりみえている。
2020年代の製造業を構造化して下記図表の最上層で示すが、日本の製造業もサイバー空間につくり出す強大なビジネスパワーを使いこなさなければならない。そのためには「ダイナミック・ケイパビリティ」が必要である(※7)。これに向けた第一歩としてつながる仕組みづくりで先手を打たなければならない。
小川 紘一
Ridgelinez
シニアアドバイザー
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