(※画像はイメージです/PIXTA)

2022年11月8日、財務省は10月末時点での外貨準備高を公表しました。前月末と比べ大きく減少しており、10月21日と24日に「覆面介入」として行われた「ドル売り・円買い」の為替介入の影響が大きいとみられます。今回の為替介入を行ったことによるメリットの有無と、その問題点について解説します。

いま為替介入を行うことの問題点

財務当局は、鈴木俊一財務大臣をはじめ、今回の円安ドル高の動きに対し、今後も為替介入を行う可能性を否定していません。しかし、現状において、為替介入を繰り返すことには、大いに問題があります。

 

どういうことかというと、「ドル売り・円買い」の為替介入を行うには、多額の米ドルが必要です。また、安易に行うと国家による相場操縦につながり、国際的な信用を損なうおそれもあります(その意味では、一部の有識者や政党にみられる、為替介入によって発生した外為特会の「為替差益」を「埋蔵金」などと表現して手放しに歓迎する論調には憂慮せざるをえません)。

 

したがって、為替介入を行うのであれば、為替相場の変動の原因に着目して、時機を見極めたうえで行う必要があります。

 

現在の円安ドル高の大きな原因は、以下の2つです。

 

・日本とアメリカの金融政策の違い

・日本の国力の相対的な低下

 

◆日本とアメリカの金融政策の違い

第一の要因は、日本とアメリカの金融政策の違いです。

 

日本政府は金融緩和・マイナス金利政策を継続しているのに対し、アメリカにおいては、金融引き締めに加え、「利上げ」を複数回にわたり行われています。つい最近も、11月2日の連邦準備制度理事会で、0.75%の利上げが行われました。

 

金利の安い円を売り、金利の高い米ドルを買うという流れになるのはごく自然なことといえます。

 

◆日本の国力・経済力の相対的な低下

第二の要因は、世界における日本の経済力・国力の相対的な低落傾向が覆い隠せなくなっていることです。

 

そもそも、2013年から続くマイナス金利政策・円安誘導政策も、日本の国力の衰えを直視せず、金融政策の力であたかも景気が上向いているかのように見せかけるものであったという面があります。その結果、これ以上の金融緩和・利下げができない状況が長期化しているのです。

 

多くの国民が増税と物価上昇に喘ぎ、年金制度や老後の生活への不安が覆っています。

 

また、実質賃金の低下も止まりません。11月8日に厚生労働省が公表した「毎月勤労統計(令和4年(2022年)9月分結果速報)」によると、実質賃金は前年比1.3%低下しており、6ヵ月連続で減少しています。

 

これらのことこそが、円安ドル高となっていることの根本的な原因です。この根本的な原因を直視し、有効な対策を講じない限り、金融政策や為替介入といった人為的な操作をどれほど繰り返しても、一時的な小康状態は得られるかもしれませんが、いずれ、万策尽きることになると考えられます。

 

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